福島第一労働者の結腸がんに労災認定~原発下請労働者の労働条件●厚生労働省発表 2025(令和7年7月8日)

「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」の検討結果及び労災認定について

電離放射線障害の業務上外に関する検討会(非公開)について

○「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」(座長:東京医療保健大学教授明石眞言)では、東京電力福島第一原子力発電所における事故後の作業従事者から、結腸がんを発症したとして労災請求がなされたことを受け、当該疾病が業務によるものかどうか、検討を行った。

(参考)平成24年9月検討会報告書「結腸がんと放射線被ばくに関する医学的知見について」を踏まえた結腸がんと放射線被ばくに関する当面の労災補償の考え方
① 被ばく線量が100mSv以上であること
② 放射線被ばくからがん発症までの期間が5年以上あること
③ リスクファクターとして、放射線被ばく以外の要因(飲酒、肥満等)についても考慮する必要がある

検討会の検討結果について

○東京電力福島第一原発における事故後の作業従事者に発症した結腸がんについて、業務上との結論。(令和7年6月30日開催)

労災認定された事案について

○労働者は60歳代に結腸がんを発症した男性。
○平成24年1月~令和5年10月のうち約9年2か月、放射線業務に従事。
○被ばく線量約105mSv
○東京電力福島第一原発において、施工管理業務として、作業現場の巡回業務等に従事した。
○事故後の東電福島第一原発での業務では防護服・全面マスク等を着用。

東京電力福島第一原発における事故後の作業従事者の労災認定状況

○これまでに労災認定された東京電力福島第一原発における事故後の作業従事者に発症した疾病は、14件(白血病7件、真性赤血球増加症1件、咽頭がん2件、甲状腺がん2件、肺がん2件)である。本件結腸がんを含めると、15件となる。

緊急作業従事者への労災補償制度の周知について

○緊急作業従事者(約2万人)等に対し、平成24年度から電離放射線被ばくによる疾病の労災補償に関するリーフレットを12回、直接送付している。

※以上については、緊急作業従事者を含む東電福島第一原発における事故後の作業従事者に労災補償制度について広く周知する観点から、請求人の同意を得て公表するもの。

安全センター情報2025年10月号