「指の軟骨はすり減り、肺結節に椎間板ヘルニアまで…私たちはなぜ病気にならなければならないのですか」/韓国の労災・安全衛生2025年4月23日

大田のある学校の給食労働者の10人の内6人が肺結節の診断を受けた。また、別の学校の給食室の状況も同じだ。この学校で働く給食労働者8人のうち1人は既に労働災害で休職中で、残った7人も腰と首の椎間板ヘルニア、指内部の屈曲間の炎症群、足節筋膜炎に苦しめられ、一日一日を苦痛の中で過ごしている。学校給食労働者たちは大田教育庁と学校に尋ねた。「誰かが必ずしなければならないことなのに、私たちはなぜ病気にならなければならないのですか?」
民主労総の全国学校非正規職労働組合は23日、進歩党のチョン・ヘギョン議員と一緒に記者会見を行い、学校給食の崩壊を招く教育当局の無責任さを糾弾した。
この日の会見には大田地域の学校給食労働者たちが参加した。最近、給食中止事態が起きて論議になった二つの学校の給食労働者たちだ。一部のマスコミでは、『卵割りと肉を茹でることを拒否した調理員』という刺激的な題名で、学校給食労働者が当面している凄惨な現実を無視している。しかし、彼女たちは「どうか、私たちの声を心底聞いてほしい。」「私たちが望むのは、正常給食と、死なずに仕事をする権利」と、力を入れて話した。
学非労組大田支部所属の学校給食労働者たちは、最近、労働強度を減らす順法闘争を始めた。既に二月に争議権を確保した状態なのでストライキに入ることもできたが、子供たちの給食の中止は避けるために、ストライキの代わりに順法闘争を選んだのだ。
彼女たちが行う順法闘争は、教職員配膳台の別途設置と冷麺器の使用を拒否し、前処理された食材などを要求することだった。学校給食室の長年の問題である人員不足を解決することが最も根本的な対策だが、当面の労働強度でも減らせる代案を探してみようという切迫感からだった。これはすでに他の学校でも行われている内容であり、大田市内の大部分の学校では、大きな支障なく改善されていたところだった。ところが給食中止事態が起きた2校だけがこのような要求を全面拒否し、論争が始まった。
屯山女子高等学校では、学校側の頑強な態度に学校給食労働者が一日ストライキに入ると、学校は突然『夕方給食の中止』を通知した。すると学内構成員たちの非難は学校給食労働者に向かい始めた。これに対し、ある学生は「恥ずかしいのはストライキではなく私たちの反応」という大字報を貼り付け、学内の構成員に自重を求める声を出したりした。
クルコッ中学校の学校給食労働者たちも、塊の食材ではなく、前処理された食材の発注などを要求した。丸ごとのワカメの代わりに切ったワカメ、塊肉の代わりに切られた肉、板卵の代わりに液状卵などに変更して欲しいということだったが、学校側はこれを受け容れなかった。これに対し、当該学校の給食労働者7人が「これ以上は耐えられない」として病気休暇を出し、学校は代替食を提供している。病気休暇を取る前までは鎮痛剤を飲みながらでも仕事をするから、業務強度を下げて欲しいという訴えもしてみたが、学校側はピクりともしなかったと伝えられた。
屯山女子高校のクォン・ヨンラン分会長は「我が校の調理員10人のうち6人が肺結節で観察診療の対象だ。指は曲がり、腕、足、肩、膝などで普通なところがない。」「このままではいけないと思って順法闘争を始めた。健康に安全に働きたくて、多くの給食調理の工程の中でもとてもしんどい幾つかの作業を調整したくて声を出したが、学校は調整や妥協、対話さえ拒否して、なぜ私たちを踏みにじろうとするのか」と糾弾した。
クォン・ヨンラン分会長は「あまりにも突然の『夕食中止』という状況は、私たちに対する報復としか考えられない。」「生徒たちの健康も、私たちの健康も、全て重要なのに、こういう状況に学校は対話を拒否し、教育庁は知らんぷりしている」と指摘した。
文花中学校のペ・ジヒョン分会長は、学校給食労働者の辛い労働環境を伝えた。「うちの調理員7人は献立のメニューを変えて欲しいとは言わなかった。塊の食材の変更と前処理された食材の発注を望むだけ」で、「7人が声を一つにして毎日のように頼んだが断られた」と、この間にマスコミを通じて流された誤った内容を訂正した。
ペ・ジヒョン分会長は続けて「ワカメ5キロを水に浸すと50キロになる。50キロのワカメを一人の調理員が大型まな板に置き、乱切りする。30個入りの卵35枚を、一人の調理員が1時間かけて割り、14kgの味噌、コチュジャンと15リットルの醤油を片手で持って味付けし、ジャガイモ20キロ、6箱ずつ脱皮機で切り、芽を除き、ピーマンとパプリカ50キロが入庫されると手で押し、ヘタを除去し、10キロの玉ねぎは多くは3~4ネットが入庫され、二人が皮をむく。肉は140キロで入庫され、多くは10回に分けて釜の壺に入れる。」「普通、各自が引き受けた調理があるので、一人または二人が分けて、自分の仕事をこなしている」と説明した。
ペ・ジヒョン分会長は「数え切れないほど多くの色々な食材によって、給食労働者の体は壊れている。」「私たちは退勤後、一日は整形外科、一日は漢方医院、一日は内科、また一日は痛み医学科に行く。病院で始まり病院で終わる一週間を過ごす」と打ち明けた。
ペ・ジヒョン分会長は「一体切ったワカメと丸ごとワカメの違いは何で、液状卵と卵、剥いたタマネギと皮のあるタマネギの違いが何なのかを知りたい。単価もそれほど多くの差はないのに、私たちをどれほど苦しく、更に痛めようとするのか判らない。」「私たちも誰かの保護者なので、この状況は楽ではない。しかし、病気にならずに定年を迎えるために、新規入社者がより良い環境で仕事をし、早期退社を防ぐために、私たちの子供たちも将来労働者になるので、誰かにとっては不便かもしれない、給食労働者には必ず必要な順法闘争を継続する」とした。
学校給食室の人手不足問題は、大田を始めとする全国で起きていることだ。低賃金、高強度労働と、繰り返される労働災害によって、学校給食室の欠員事態は数年間繰り返されている。全国の大部分の地域で、新規採用は未達であり、残った人員も一年も耐えられないまま辞めるのが実情だ。
この間、労働組合は問題を解決する特段の対策が出てこない場合、大規模な欠員事態と給食支障などに繫がる他はないと何度も警告したが、政府と教育当局からの返事はなかった。これに対し、学校給食労働者が所属する学非労組と全国女性労組、全国教育公務職本部が設けた『全国学校非正規職連帯会議』の代表者らは21日、政府ソウル庁舎前で無期限の断食座り込みを始めた状態だ。
この日で断食三日目の学非労のミン・テホ委員長は「学校給食労働者の指ごとに曲がり、厚く腫れ上がった写真は、毎年マスコミの記事に出ている。2025年に、1970年代の女工のように働けと強要される所が、学校だという事実に驚くのではないか。」「学校給食労働者たちは関節炎の痛みに鎮痛剤と筋肉弛緩剤を分けて飲み、無償給食を守っている。大田の屯山女子高校とグルコッ中学校の学校給食室の労働者たちは、機械ではない。人間だ」と強調した。
ミン・テホ委員長はまた、前日市民が選んだ最悪の殺人企業に市・道教育庁が選ばれたことを話した。「給食労働を軽視し、無償給食を崩す市・道教育監らは、公開の謝罪声明書を発表すべきだ。」「民生末期のお祭りをするのではなく、政界と大統領選の候補たちは、学校給食総合対策を約束しなければならない」と追求した。
国会・環境労働委員会のチョン・ヘギョン進歩党議員は「今回の事案に関して、大田教育庁の対処に深刻な違法問題があるということを申し上げる。」「地方労働委員会の調整中止によって争議権を得た労働組合の合法的な争議行為は、誰も妨害できない。妨害する行為そのものが犯罪に当るということを明確に申し上げる」と断言した。
チョン・ヘギョン議員は「子供たちも大きくなって労働者になるだろう。子供たちが大きくなって、どのように自分の権利を守るべきかを教育するどころか、労働者の口を塞ぎ、憲法上の権利を妨害する姿、教育機関として、教育者としてするべきではないこと」で、「合法的な労組活動を尊重し、難しい環境でも最善を尽くして仕事をしている給食労働者の労働環境を改善する姿を見せて欲しい」と話した。
2025年4月23日 民衆の声 ナム・ソヨン記者