オーストラリアの進行中のアスベストの遺産:ほぼ15年前のアスベスト全面禁止後でも残る大きな課題/

抄録:

アスベスト関連疾患の世界負荷を低減させるもっとも効果的なやり方は、アスベストの禁止と吸入性アスベスト繊維への職業・非職業曝露の最小化を通じてである。オーストラリアのアスベスト消費は1970年代にピークに達し、オーストラリアは人口1人当たりアスベスト消費量が世界でもっとも高いと広く考えられている。オーストラリアのあらゆる種類のアスベスト及びアスベスト含有製品・物質の廃止は、ある単一の時点で起きたものではない。クロシドライトの消費は1960年代後半に終わり、1980年代半ばにおけるアモサイト消費の中止が続いた。1990年から1999年に重要な政府の報告書が発表されたにもかかわらず、すべての種類のアスベスト(クロシドライト、アモサイト及びクリソタイル)の全面禁止がオーストラリアで導入されたのは2003年末のことだった。労働組合と非政府組織は今日、オーストラリアのアスベスト関連疾患の流行に対する政府の対応の監視に重要な役割を果たし続けている。アスベストの全面禁止がほぼ15年前に実施されているにもかかわらず、オーストラリアには大きな課題が残り続けている。オーストラリアのアスベスト関連疾患の流行はようやくピークに達したところである。1982年から2016年の間に16,679人の人々が新たに悪性中皮腫と診断され、症例の84%は男性で生じている。過去10年間、年齢標準化悪性中皮腫発症率は安定している。オーストラリアの標準化人口を用いて、2016年に10万人当たり発症率は2.5、瀬木の世界標準人口を用いると1.3であった。2003年以来オーストラリアのアスベスト全面禁止が実施されているにもかかわらず、吸入性アスベスト繊維にへの曝露によるリスクに潜在的にさらされている職業・非職業グループを含め、回避することのできるアスベスト関連疾患の破壊的な影響の予防に、公衆衛生の努力は焦点をあて続くなければならない。

1. はじめに

オーストラリアでアスベストの全面禁止が実施されてからほぼ15年たっているが、アスベストの危害からオーストラリアの人々を保護することはますます複雑な公共政策問題として認識されつつある。最近では2017年に、不適合建材中のアスベストの脅威からオーストラリアの人々を保護することについてのある上院議員の質問は、以下のように言っている。
「アスベスト安全は複雑な政策であり、全国規模での調整のとれた努力を必要とする活動領域である。そのようなものとして、多くの連邦、州及び特別地域政府の諸機関は、職場安全、国境保護、環境保護、公衆衛生及び消費者安全を含め、様々な分野でアスベストを監視する責任を負っている」。
過去の高い人口1人当たりアスベスト消費量のゆえに、オーストラリアはしばしば世界でもっとも高い悪性中皮腫の発症率をもつ国とみられている。早くも1980年代後半に疫学研究者らが、悪性中皮腫に焦点をあてて、オーストラリアにおけるアスベスト関連疾患の現出しつつある問題の調査を開始した。40年後、公衆衛生研究者とアドボケートはいまなお、オーストラリアのアスベスト関連疾患流行のカーブのパターンの測定と、既存のアスベスト及びアスベスト含有物質のリスクの理解において果たすべき重要な役割を負っている。
本論文でわれわれは、オーストラリアでどのようにアスベストが使用されたか、及び、アスベストが禁止された時期に関連した様々なイベントを記述する。われわれはまた、アスベスト禁止政策の変化、とりわけ2003年のアスベスト全面禁止を導いた製造業労働者組合の主要なキャンペイナーを検討する。世界初の全国アスベスト安全・根絶機関や全国アスベスト関連疾患監視システムなど、より最近の進展にも焦点をあてる。最後にわれわれは、オーストラリアにおけるアスベスト関連疾患のパターンと、どのようにして疾患のピークがいまになってようやく見られているのか説明する。
国際がん研究機関は、アスベストは中皮腫及び肺、喉頭若しくは卵巣のがんを引き起こすと言明してきた。
ここでわれわれは、悪性中皮腫発症率の経時的変化及び石綿肺と胸膜プラークの死亡・入院データを示す。オーストラリアについてのデータを含め、職業性発がん物質についての世界疾病負荷データが発表されており、他のアスベスト関連がんについての推計も含まれている。簡単に、健康指標評価研究所による最近の世界疾病負荷データ(https://vizhub.healthdata.org/gbd-compare/)は、2016年にオーストラリアで4,048件の職業アスベスト曝露によるアスベスト関連死亡があり、それら死亡の75%がアスベスト関連肺がん(n=3,017)、19%が悪性中皮腫によるもの(n=766)と推計している。残りの6%は、喉頭がん、卵巣がんまたは石綿肺によるものであった(各々n=48、140及び77)。本論文でわれわれは、オーストラリアにおけるアスベスト関連疾患のパターンを正確に記述するために、がん登録、死亡・入院データを含めた国の行政的保健データセットに主として依拠した。他のデータも利用可能である。しかし、こうしたデータはアスベスト関連疾患の総負荷を捕捉していそうにない。例えば、労災補償データはオーストラリアでは全国的には、請求が認められた悪性中皮腫と石綿肺に関する情報を提供するだけである。オーストラリアにおける最近のアスベスト関連疾患負荷をより包括的に理解するためにこれらのデータを解釈するうえでの限界のひとつは、労災補償請求件数はアスベスト関連死亡数と合致しないことである。全国データは、2015年に石綿肺によって死亡したと知られている者が127人であるのに対して、2014~2015年の間に33人しか石綿肺について労災補償を受けていないことを示している。

2. オーストラリアにおけるアスベストの使用及び廃止

オーストラリアは、大量の原料アスベスト及びアスベスト含有製品・物質が消費された国である。これが、オーストラリア社会に対する有害な健康、社会的及び経済的影響につながり、それらの影響はいまもなお見られている。
オーストラリアは、主として採掘、建材へのアスベスト使用、またアスベスト含有製品の輸入によって、1950年代に人口1人当たりアスベスト消費量が世界最高だった。オーストラリアのアスベスト消費量は1970年代に、704,425トン(1970~1979年平均)でピークに達した。1980年から1889年の間に、ニューサウルウェールズ州ガンダガイ近くのジョーンズ・クリークでの47トンのアンフィボル、タスマニア準州アンダーソンズ・クリークで35トンのクリソタイルの、合計82トンのアスベストが採掘された。
1980年代後半から1930年代後半までオーストラリアでは、主としてクリソタイル鉱脈から、アスベスト採掘の漸増があった。1937年に上スターンオーストラリア州ウイットヌームで採掘がはじまった、1930年代後半に移行が生じた。ウイットヌームにおける採掘から生産された主なアスベストは主にクロシドライトだった。ウイットヌーム鉱山は1966年に閉鎖された。ウイットヌーム・アスベスト鉱山の閉鎖は、粉じん疾患の発生を管理するためというよりも、輸送費用や人件費などの経済的理由によるものだった。
最大のトン数のクリソタイルを採掘した州はニューサウルウェールズだった。ニューサウルウェールズには2つの主要なアスベスト鉱山があった。ニューサウルウェールズ州バーユルギルにおけるアスベストの採掘は1944年に開始され、数十年間操業して、最終的に1983年に閉鎖した。クリソタイルはニューサウルウェールズ州ウッズリーフでも1970年代初めから1983年まで採掘された。ウイットヌーム鉱山の閉鎖を受けて、約122トンのクロシドライトがサウスオーストラリアで採掘された。
オーストラリアのクロシドライト及びクリソタイル・アスベスト繊維は、日本、イギリス及びアメリカを含め、多くの国に輸出された。とくにアメリカと欧州地域が大量のオーストラリア産クロシドライトを輸入した。クロシドライト及びクリソタイルを他国に輸出する過程で多くの労働者がアスベストに曝露した。1960年代後半から、オーストラリアのアスベストの輸出には減少がみられた。
1970年代後半にオーストラリア放送協会(ABC)は、工業労働者におけるアスベストの影響に焦点をあてた一連のラジオ番組を制作した。労働者に対するアスベストの影響に関するこの広報は、バーユルギルのクリソタイル鉱山と地元のアボリジニ[先住民]の人々に対するその影響に対する意識を高めた。1984年に、①バーユルギルに暮らすまたは働くアボリジニの人々に対するアスベスト曝露の影響、②バーユルギルの採掘事業によって影響を受けるアボリジニの人々に対する健康と福祉の保護、③バーユルギルの採掘及び加工活動によって有害な影響を受ける人々が入手できる補償の提供を調べるための議会調査が開催された。バーユルギルにおけるクリソタイル採掘の社会的及び健康影響はいまもなお明らかになりつつあるところである。
ニューサウスウェールズ州ウッズリーフにある自然生成クリソタイルの鉱脈は1971年に採掘が開始された。この鉱山は乾式精製のオープンキャストであった。同時に生じたオーストラリアの粉じん管理規制を遵守することの困難とアスベスト製品の需要の世界的低下によって、ウッズリーフ鉱山は1983年にクリソタイル生産をやめた。筆者らの知る限り、ウッズリーフ鉱山労働者のがんまたは死亡率フォローアップの疫学調査は行われたことがない。
オーストラリアはカナダ(クリソタイル)と中国(クロシドライト・アモサイト)からアスベストを輸入した。オーストラリアで生産されるものより約2倍の量のクリソタイルが海外から輸入された。しかし、オーストラリアにおけるクロシドライト使用の大部分は輸入よりむしろ国内生産によるものだった。オーストラリアはまた、ドイツ、日本、イギリス及びアメリカから多くの製造されたアスベスト含有製品を輸入し、最初の輸入は1929年にはじまったと思われる。これらの製品には、アスベスト含有摩擦材・ガスケット、アスベスト糸、紐・布、アスベストジョイント・ミルボード、及びアスベスト含有セメントが含まれる。アスベスト・セメント製造業はアスベスト製品の最大のユーザーのひとつだった。オーストラリアでは、アスベスト消費の大部分(90%)はアスベスト・セメント製造業で生じた。
2003年まで、摩擦材、シーリングガスケット及び接着剤へのクリソタイルの使用が続き、オーストラリア全体におけるアスベストのあらゆる輸入及び使用に関する全面禁止が2003年に実施された。多くのアスベスト含有製品・物質が、オーストラリアの居住用・非居住用建物や上下水道管のなかにそのまま残されている。

3. 2003年のアスベスト全面禁止までのオーストラリアにおけるアスベスト禁止キャンペーン

2003年末はオーストラリアのアスベスト消費の物語のなかで重要なマイルストーンになった。2003年末から、わずかな期限限定の例外を除いて、アスベスト及びアスベスト含有製品はもはやオーストラリアに輸入できなくなったのである。期間限定の例外は、当該部品がミッションに不可欠でクリソタイル使用に対する合理的な代替品が存在しない製品または部品中のクリソタイルについて、アスベスト国防機関が使用するものに関してだった。例外には、飽和蒸気または高温とともに使用される圧縮アスベスト繊維ガスケット、液体塩素サービスプラントの塩素に使用される圧縮アスベスト繊維ガスケット、及び、電解槽で使用される隔膜が含まれた。
労働組合運動は、州と連邦の諸機関が健康と雇用の保護に関してオーストラリア社会のために行動するよう促進するうえで重要な役割を果たした。2003年という日付けは、アスベスト含有製品・物質を扱う労働者の雇用の機会の保護及びアスベスト曝露の有害な健康影響からのすべての労働者の保護を支援するものと考えられた段階的禁止アプローチをもったアスベストの段階的禁止のデッドラインを、1992年のオーストラリア製造業労働者組合の全国会議が支持してから8年後だった。
アスベストの全面禁止に向けたオーストラリアの進展においてもっとも重要な労働組合のひとつがオーストラリア製造業労働者組合(AMWU)だった。AMWUの組合員の大きな基礎は、アスベスト断熱材や摩擦材に曝露したメンテナンス労働者や職人だった。自動車、発電及び造船業の労働者も、オーストラリアのアスベスト含有ブレーキ、クラッチやガスケットの高いレベルの製造及び使用を通じて、アスベストに著しく曝露した可能性があった。とりわけアスベスト含有製品は自動車産業で使用された。組合員を保護するうえでAMWUにとっての挑戦は倍加された。一方で、多くの組合員が、職場におけるアスベストへの曝露の破壊的で、しばしば致死的な影響に苦しんでいた。他方で、アスベスト含有製品の製造や据え付けまたはメンテナンスにその雇用を頼っている労働者のグループもいた。1980年代と1990年代にオーストラリアを苦しめた高い失業率を踏まえれば、組合員の雇用の保護は不可欠だった。
すべての原料アスベストの輸入の段階的禁止アプローチは、アスベスト使用に関するビクトリア州政府の調査によって、1990年にオーストラリアで初めて提案された。当時、アスベスト含有車両ブレーキの交換に大きな需要があった。ブレーキ交換市場は、アスベスト含有交換用ブレーキと比較して、ノンアスベスト交換用ブレーキは相対的に安全でなく性能も劣ると考えていた。アスベスト使用に関するビクトリア政府の報告は、「車両ブレーキシステムがノンアスベスト摩擦材用に設計・構築されている場合には、その後の修理やメインテナンスでは同等の標準的ノンアスベスト製品のみを使用できる」と勧告した。しかし、この問題は、調査勧告を実施する政府には留意されなかった。また、クリソタイル消費は減少するだろうという、1990年調査当時にアスベスト産業によってなされた主張は現実にならなかった。
ビクトリアにおける1972年労働安全衛生(アスベスト)規則の導入はアスベスト曝露からのオーストラリア労働者の保護における重要なシフトを記した。規則は、労働状況において大気中アスベストに曝露する労働者についてアスベスト関連疾患を予防するために制定された。この規則が策定及び実施されるためのアドボケートにおいては労働組合運動が重要な役割を果たした。規則は、建築構造または商店からのアスベスト除去について0.1繊維/ml、クリソタイル以外のすべての種類のアスベストについて0.1繊維/ml、クリソタイルについて0.5繊維/ml、アスベストの種類がわからない場合について0.1繊維/mlを含め、4時間の最小期間に対する測定可能なアスベスト曝露基準の数値を設定した。規則には州内でのアスベスト製品の生産に関する規定はなかった。重要なことは、この規則がビクトリア州のみに関係するもので、国レベルで適用されるものではなかったことである。
州から国レベルへの焦点のシフトは1990年代半ばに生じた。オーストラリア政府の国家化学品届出審査機構が、その優先既存化学品(PEC)プログラムを通じてクリソタイルの職業曝露に関する調査を開始したのである。国レベルにおけるクリソタイル・アスベストの曝露基準引き下げに関する議論は行き詰まった。しかし、これは労働組合と非政府組織にとって、様々な雇用部門におけるクリソタイル・アスベストに関する情報を収集する機会を提供した。また、1990年代には、ノンアスベスト摩擦材は標準以下でオーストラリアの運転手に対するリスクにつながるという自動車製造業者からの主張とともに、アスベスト及びアスベスト含有製品・物質の輸入が持続した。また、AMWUと製造業者双方にとっての共通の関心は労働者の雇用の機会の保護だった。
1999年に国家化学品届出審査機構はクリソタイル・アスベストに関する完全な公式報告書を発表した。報告書で概述された8つの主要な勧告のうちの3つは、①オーストラリアでクリソタイルの段階的禁止が実施されるべきである、②クリソタイルについての国の曝露基準が全国労働安全衛生委員会(NOSHC)によって検討されるべきである、③製造業者、供給者及び使用者はNOSHCによって策定された有害物質モデル規則を遵守する、である。1998年のオーストラリアのクリソタイルについての曝露基準は1.0繊維/mlで、他のすべてのアスベスト繊維への曝露のついては0.1繊維/mlであった。より最近では、すべての種類のアスベスト繊維についてのオーストラリアの曝露基準は0.1繊維/mlである。
1999年のPEC報告書にもかかわらず、アスベスト禁止のタイムフレームの設定を含め、PEC勧告を実施するためにNOSHCによってとられた行動は少ししかなかったようにみえた。アスベスト及びアスベスト含有製品・物質の影響からの労働者の保護のための州及び連邦政府に対するアドボケートにおける労働組合と非政府組織の継続的努力は2000年にピークに達した。アスベスト及びアスベスト含有製品の供給の急な中止の労働市場への影響に関する様々な労働組合の懸念から、迅速に行動する必要性もあった。労働組合、産業界とビクトリア州政府によるラウンドテーブル会議が開かれた。2000年末までに原料アスベスト及びアスベスト含有製品・物質の輸入を段階的に禁止するロードマップに合意した。ロードマップの重要な部分のひとつは、アスベスト含有ブレーキ生産に係る市場の変化によって影響を受ける可能性のある労働者に労働市場の機会を確保することだった。2002年にオーストラリア職場関係大臣会議が、2003年までの新たなクリソタイル・アスベスト使用の段階的禁止に合意した。
2003年に成立したアスベストの全面禁止はオーストラリアの労働組合運動の重要な勝利だった。これは不幸なことに、連邦及び州レベルの政府による社会の健康利益のために行動する政治的意思の欠如の物語を示していた。AMWUの組合員にとっての重要な課題は、アスベスト含有製品の製造は終わったとはいうものの、組合員がなお既存及び新たな機械や工場のガスケット中のアスベストやアスベスト摩擦材に曝露するということだった。2003年の禁止直後に生じた具体的紛争のひとつは、アスベスト含有機械部品から現在及び将来の労働者の保護の必要性に焦点をあてたものだった。労働組合の絶え間ない計画と努力を通じて、容易にアクセスできるすべてのアスベスト含有ガスケットを除去し、それによってアスベストに曝露する可能性のある将来の労働者の不必要なリスクを取り除くという合意が達成された。

4. より最近の進展及び課題

2003年がオーストラリアにおけるアスベスト関連疾患を予防する取り組みにおいて重要なマイルストーンを記すと同時に、初回アスベスト曝露とアスベスト関連疾患の間の長い潜伏期間は政府諸機関がこの破壊的な疾患への対応を継続しなければならないことを意味していることが広く認識された。

4.1. 全国アスベスト安全・根絶機関の設立

アスベスト安全・根絶機関(ASEA)は、環境・公衆衛生問題を包含するよう職場安全を越えたアスベスト問題に全国的焦点を与えるために最近設立された。筆者らの知る限り、世界に全国レベルで同様の機関は存在していない。ASEAは2014~2018年アスベスト認識・管理全国戦略計画の実施の促進、調整、監視及び報告に焦点をあてた幅広い機能をもっている。全国戦略計画は、アスベスト曝露のリスクに関する認識を高めるとともに、アスベスト含有物質を管理するための包括的かつ全体的なフレームワークを提供している(囲み1参照)。ASEAは、2013年アスベスト安全・根絶機関法の成立を受けて、2013年7月1日に設立された法定機関である。同機関の運営は連邦雇用大臣の責任である。同機関の設立は、オーストラリアがん評議会、オーストラリア製造業労働者組合及びオーストラリア労働組合評議会によって共同開催された2010年サミットに基づいたものである。このサミットにおいて、アスベストリスクに関する社会の認識不足、様々なレベルの政府によりばらばらなアプローチ、及び現行のアスベスト安全規制の遵守における不備のゆえに重要なものとしての全国アスベスト安全機関の必要性に焦点があてられた。

囲み1. オーストラリア・アスベスト認識・管理国家戦略の6つの主要な戦略(アスベスト安全・根絶機関「2014~2018年アスベスト認識・管理国家戦略」)
戦略1-認識:アスベスト作業及び曝露によって引き起こされる健康リスに関する人々の認識の向上
戦略2-ベストプラクティス:アスベスト管理、教育、輸送、貯蔵及び廃棄におけるベストプラクティスの確認及び共有
戦略3-把握:アスベストの把握及び等級付けの改善並びにアスベスト関連物質の所在に関する情報の共有
戦略4-除去:アスベストがん連物質がリスクを示す優先領域の確認、アスベストの安全な除去に対する障害の確認、並びにアスベストの安全な除去の能力及び率を推定するための管理及び除去インフラストラクチャーのレビュー
戦略5-研究:アスベスト曝露及びアスベスト関連疾患の予防への研究の委託、監視及び促進
戦略6-国際協力:オーストラリアは世界規模のアスベストの採掘及び製造の禁止のための世界的キャンペーンにおいてリーダーシップの役割を果たし続ける

1990年より前に建設されたオーストラリアの多くの家屋がアスベスト含有物質をもっているという広く受け入れられたコンセンサスがある。これが居住施設における配管工や電気工に対する高度の職業アスベスト曝露につながってきた。それに対してASEAは、これら2つの労働者グループのための特別な助言を策定するために主要な職業グループと協力してきた。同機関は、日々の労働生活のなかでアスベストに接触する機会の非常に高い配管部門で働く人々に特別にねらいを定めた情報を開発した。この情報は配管工・管工業従業員組合及びオーストラリア熟練配管工[組合]と協力して開発された。同様に、電気工は、電柱にケーブルを取り付けるための動力装置または郊外の家屋への電線管から、幅広い専門領域でアスベストに曝露する可能性がある、電気工のためのねらいを定めた情報がASEAによって開発された。この情報は全国電気通信協会、電気労働組合及びオーストラリア熟練電気工[組合]とのパートナーシップで開発された。労働組合及び事業者団体とのこのパートナーシップアプローチはアスベスト安全対策の浸透を高める可能性がある。こうした具体的部門におけるアスベスト認識キャンペーンはそれ自体が興味深い公衆衛生評価活動である。
ASEAによって最近制作されたもうひとつの重要な成果はオーストラリア初のナショナル・アスベスト・プロファイル(NAP)である。ナショナル・アスベスト・プロファイルは各国が、もっともアスベスト曝露のリスクにさらされているグループを含め、アスベスト消費とアスベスト関連疾患についてベースラインとなる状況を確定するのを支援する。プロファイルはまた執行可能なアスベスト曝露限界に関する情報も含んでいる。オーストラリアNAPは、他の諸国からのアスベスト含有物質の輸入など、オーストラリアにおけるアスベストの消費と規制の歴史、及び、オーストラリアにおける進行中のアスベスト問題に関するより最近の情報を提供する質の高いデータを利用している。NAPは2014~2018年アスベスト認識・管理国家戦略と並んで、アスベスト関連疾患根絶のための取り組みを含め、オーストラリアのアスベスト安全努力の有効性の経時的追跡に役立つだろう。
同機関の優れた活動にもかかわらず、本論文執筆時点で、同機関の連邦政府部局への統合について公共圏内で議論が行われている。しかし、われわれの見解では、これはオーストラリアでアスベスト関連疾患を予防するための活動及び資源に高い優先順位を与える進行中の必要性に悪影響を及ぼすかもしれない。

4.2. 全国中皮腫監視プログラム

1980年代半ば以降、新たに悪性中皮腫と診断された人々からアスベスト曝露データを収集することに、オーストラリアは大きな投資を行ってきた。このシステムの3つの異なる反復が実施された-1980年から1985年に運営された中皮腫監視プログラム、オーストラリア中皮腫登録(1986~2007年)及び最近再構築された、2010年以降運営されているオーストラリア中皮腫登録である。
新たに悪性中皮腫と診断された人々についてのアスベスト曝露データの収集を含め、オーストラリアの中皮腫監視プログラムの選択肢について議論するため、2009年に全国フォーラムが開催された。2010年7月、ニューサウスウェールズがん研究所とセーフワーク・オーストラリア[安全衛生審議会]、研究者、がん登録、及び他の労働安全衛生グループを基礎にした共同の取り決めとして、オーストラリア中皮腫登録が再建された。この登録は2011年1月1日までに完全に操業した。オーストラリア中皮腫登録の主要な目的には、①アスベスト曝露と悪性中皮腫との間の関連性のよりよい理解、②個人のグループが潜在的に危険なレベルのアスベストに曝露する状況の確認及び予防の促進、③われわれの環境にいまもなお存在するアスベストに最善に対処するための政策開発の支援、が含まれる。
原因となったアスベスト曝露を確認する方法の詳細は別のところで出版されている。簡単に言えば、各がん登録は、確認された悪性中皮腫症例の報告を受けつけると、悪性中皮腫患者に連絡する同意を得るために関係する臨床医と接触する。対象者が2010年7月1日以降に悪性中皮腫と診断され、許可取得の時点で生存しており、参加できる状態であれば、同意が与えられる。承認が与えられれば、がん登録が悪性中皮腫患者と接触して、アスベスト曝露データの収集に参加する同意を求める。同意した個々人には、アスベスト曝露歴に関連した質問用紙が郵送される。郵送質問用紙によって得られたデータに基づいて、OccIDEASと呼ばれるオンライン・アプリケーションを使って、各々の事情に合わせた電話インタビューを実施する。職業歴のいかんに関わらずすべての参加者は、自宅の改修作業を含め、職業及び非職業環境におけるアスベスト曝露について聞かれる。その後、OccIDEASに用意された曝露評価アルゴリズムによって、後述の5.3.節で、職業及び非職業環境におけるアスベスト曝露の可能性が判定される。オーストラリアで2010~2016年に悪性中皮腫を発症した者のアスベスト曝露データを詳しく紹介する。より広い文脈におけるアスベスト曝露について、バン・オイエンと同僚らは、1943~2003年の間の4回の時点について、224職種と60業種の537の組み合わせを推計した。平均アスベスト曝露がもっとも高かったのは、造船、保温及びアスベスト製造業であったと考えられた。56の職種と業種を組み合わせたカテゴリーでは、現在のオーストラリアの曝露基準(0.1繊維/ml)を超える曝露があったと、研究者は考えた。
アスベスト関連疾患の予防のためのオーストラリアの公衆衛生関係者や労働組合による努力における進行中の挑戦のひとつは、1987、1993及び1995年のプログラムと登録をやめさせようとする企てを含め、全国中皮腫監視プログラムの反復を閉じさせようとする企みである。2007年にはオーストラリア中皮腫登録を再構築させようという労働組合運動による強力なロビー活動があった。オーストラリア中皮腫登録の将来は2016年に再度レビューされた。直近では、オーストラリア中皮腫登録は、ニューサウスウェールズのがん研究所からオーストラリア健康福祉研究所に移るプロセスのなかにある。

4.3. 全国アスベスト安全・認識キャンペーン

オーストラリア社会が職業及び非職業アスベスト曝露を通じてアスベスト関連疾患のリスクにさらされ続けるだろうということを理解して、一般の人々に向けたアスベスト認識キャンペーンが設立された。アスベスト認識キャンペーンとasbestosawareness.com.auウエブサイトは2011年に開始された。それは、非営利、企業、政府(すなわちセーフワーク・ニューサウスウェールズ)及びアスベスト関連疾患支援グループや研究者団体で構成される、アスベスト調整諸機関責任者アスベスト教育委員会のイニシアティブである。2012年にキャンペーンがニューサウスウェールズで開始されて以降、キャンペーンは全国的に広がるとともに、アスベストの危険性とそれを安全に管理する方法についての認識を高めるためにメディアを利用しながら、各地・州政府や企業と緊密に協力し合っている。全国アスベスト認識キャンペーンは非常に成功して、多くの有名な国際的コミュニケーション賞を受賞した。
オーストラリアにおけるもっとも重要なアスベスト認識キャンペーンのひとつはベティハウス[Betty House]である。ベティは、1987年より前に建設または回収されたオーストラリアの家屋のどこにアスベストがみつかる可能性があるかに関して人々を教育するための、様々な場所に運転していくことのできる移動式ホームとして設計されている。ベティハウスの外観の見た目は、アスベスト含有物質を使って建てられたオーストラリアの典型的家屋と同じである。ベティの内側は、浴室、キッチンやリビングルームを含め、家屋の主要部におけるアスベスト含有物質・製品についてのオーディオビジュアルを使った説明を提供している。重要なことは、ベティハウスが様々な地域を巡回したときに、その地域の地元政府とのパートナーシップで、地元でメディアのなかでアスベスト認識キャンペーンが同時に行われることである。ベティは、広範囲に及ぶメディアキャンペーンと連動してオーストラリア中を縦横に旅行し、走行記録はベティのフェイスブックとAsbestosAwareness.com.auウエブサイトで紹介された。このウエブサイトは、様々な状況におけるアスベストの危険性とそれを管理する方法に関する大量の情報を提供している(表1)。
今後の公衆衛生研究の潜在的領域のひとつは、全国アスベスト認識キャンペーンの影響とャンペーン対象者におけるアスベスト関連疾患を予防するための持続的な行動変容があったかどうかについてのよりよい理解である。

5. オーストラリアにおけるアスベスト関連疾患

2003年以来アスベストの全面禁止が実施されているにもかかわらず、オーストラリアでは悪性及び非悪性アスベスト関連疾患(ARDs)は診断され続けている。悪性中皮腫の発症率は、減少はしていないとしても、安定しているように思われるものの、2016年に700人が新たに悪性中皮腫と診断された。悪性及び非悪性ARDsを追跡することは、研究者や政策決定者に、実施されたアスベスト禁止の有効性と進行中または新たな、職業または非職業アスベスト曝露リスクについて知らせるのに役立つだろう。

5.1. 悪性中皮腫の記述的疫学

オーストラリアにおけるアスベスト使用は、悪性及び非悪性疾患を含め、重大なARDs負荷をもたらした。オーストラリアのARDs負荷に関するもっとも信頼できるデータは、がん症例を報告する法的要求事項があることから、がん登録データによるものである。オーストラリア健康福祉研究所とオーストラリア中皮腫登録のデータを用いて、オーストラリアでは1982~2016年に16,679人が新たに悪性中皮腫と診断され、これら発症事例の84%が男性で生じた(図1a)。この期間における発症事例の大部分(約70%)が年齢65歳以上であった。

オーストラリアのアスベスト消費は1970年代にピークに達し、この10年間のアスベスト消費量は約70万トンであったことは観察する価値がある。数十年前の人口レベル当たりアスベスト消費量をより最近のアスベスト関連疾患の発症と関連付けることができる。オーストラリアでは、消費された約100トンのアスベストが約1件の悪性中皮腫による死亡をもたらしてきた。様々な研究者によって示された、過去のアスベスト消費量と数十年後に生じたアスベスト関連疾患負荷との間の相互関係を照合、推計及び批判するにはさらなる研究が必要である。
男性及び女性についての10万人あたり悪性中皮腫の年齢標準化発症率は2000年代にもっとも高かった。例えば、オーストラリア標準年齢人口を用いて、2003年の10万人当たり男女合計発症率は3.2だったが、それ以降減少している(2016年には10万人当たり2.5)。やはり2003年における、最高の男性の悪性中皮腫発症率は、オーストラリア標準年齢人口を用いて10万人当たり5.9だった(図1b)。多くの他の諸国のように、女性の悪性中皮腫発症率は男性の率よりも著しく低い。1997年以降、オーストラリアで悪性中皮腫と診断された女性の年齢標準化発症率は(オーストラリア標準界人口)10万人当たり0.8~1.0、(瀬木世界人口)10万人当たり0.5~0.7の範囲であった(図1b)。悪性中皮腫の診断と死亡の間の急速な死亡率を踏まえれば、死亡率は発症率の値と近接している。

5.2. オーストラリアの非悪性アスベスト関連疾患負荷の推計

アスベスト関連疾患には石綿肺などの非悪性疾患が含まれる。非悪性ARDsに関するオーストラリアのデータは、法的な疾患登録報告要求事項が悪性疾患についての者と異なることから、慎重に解釈する必要がある。しかし、オーストラリアの入院データは洞察力がある。これら入院データは、入院した者の数ではなく、別々の入院エピソードの数を反映したものである。
1998~2015年の間に石綿肺(ICD-10コードJ61)について2,041件の入院があった。これは、同じ期間の、化学物質、ガス、ヒューム及び蒸気による呼吸器疾患(ICD-10コードJ68)についての833件の入院及び珪肺(ICD-10コードJ62)についての517件の入院と比較することができる(図2a)。入院データは、石綿肺を伴なう及び伴わない胸膜プラーク(ICD-10コードJ92.0及びJ92.9)についても収集及び報告されている。全国入院データは、1998年7月から2015年6月の間に1,148件の入院があったことを示唆している(図2b)。2008年7月から2013年の6月の間のデータはない。にもかかわらず、1998~2015年の間に報告された全胸膜プラーク入院のうち、43%(487件の入院)は石綿肺を伴なう胸膜プラークとして記録された。

5.3. アスベスト曝露データ

オーストラリア中皮腫登録では、アスベスト曝露データを収集された個々人は、バックグラウンド曝露レベルを超えるアスベスト曝露の可能性が高い、可能性がある、可能性が低いに割り当てられ、可能性が高い曝露はさらに高い、中等度、低いアスベスト曝露の可能性に分類される。このアスベスト曝露の割り当てはアスベスト曝露の期間、頻度または程度は考慮しない。職業アスベスト曝露を最初に評価する連続プロセスが用いられる。対象者の職業アスベスト曝露の可能性が低いと考えられた場合には、それから非職業アスベスト曝露に関する質問が開始される。ある個人が同じ分野で多数の職種別質問を終了したら、もっとも可能性の高い曝露が記録される。
オーストラリア中皮腫登録の直近の報告書は職業または非職業曝露があったと記録された人々の数に関するデータを示している。オーストラリア中皮腫登録によるアスベスト曝露データは、2010年7月1日から2017年4月の間にアスベスト曝露データが収集された701人について入手可能である(図3)女性が収集された全曝露データの約20%を占め、アスベスト曝露の種類によって男性と女性についていくつかのパターンがある。とりわけ、男性(113人、48%)と女性(119人、52%)のほぼ同じ割合が、職業アスベスト曝露があったものとして分類されている。50人は、職業または非職業アスベスト曝露の証拠がないものとして分類されている。

6. 結論

悪性及び非悪性アスベスト関連疾患の破壊的負荷は予防することが可能であるということが幅広く理解されている。アスベスト関連疾患を予防するために諸国がとることのできる主要な行動のひとつが、アスベスト及びアスベスト関連製品の使用の禁止を実施することである(囲み2)。
たとえいったんアスベストを禁止したとしても、長年にわたる公衆衛生上の予防対策が必要である。これには、吸入可能なかたちでのアスベストへの曝露を回避するために、職業及び非職業環境からアスベスト及びアスベスト含有物質を安全に取り扱い、または根絶することが含まれる。しかし、アスベスト関連疾患の流行を予防するために必要とされる、アスベスト禁止という任務も社会的予防活動も、容易に実施できるものではない。アスベスト禁止を実施するために政府がタイムリーに政策及び規制的決定を下すようにさせることには、しばしば労働組合運動を含めた非政府部門による継続的かつ持続的努力が含まれている。
オーストラリアでは、アスベストの禁止、とりわけ2000年代初めのクリソタイルを禁止する行動を政府に強いるその役割において、労働組合運動が重要であった。アスベスト関連疾患の監視も、健康的な公共政策のアドボケートと人口中の特定の集団にねらいを定めたアスベスト認識・安全キャンペーンの実施のための重要な要因であった。例えば、居住用または商業用建築環境においてアスベスト含有物質に接触する建設職人や家屋の改修中に吸入性アスベスト繊維に曝露するオーストラリア社会の人々である。

囲み2 アスベスト及びアスベスト関連疾患の根絶を支援するために他の諸国に適用可能な主要な教訓

  • 様々な政府、非政府及び民間部門にまたがって取り組むことが、アスベストまたはアスベスト含有物質・製品の輸入・輸出データを含め、アスベスト消費の量及びパターンの包括的理解を確保するために必須である。こうしたデータは直接、国のアスベスト・プロファイル策定に活用できる。
  • 保健及び労災補償機関と協力することは、国内における悪性及び非悪性アスベスト関連疾患の発症率に関して、どのようなデータが、また、あるとすれば量的または質的データが入手可能かどうかを判定するのに役立つだろう。
  • アスベスト禁止の導入の保健的、社会的及び雇用的影響を議論するために、様々な政府、非政府及び産業部門グループをテーブルに着かせることが重要である。
  • アスベストまたはアスベスト含有製品の輸入または輸出の禁止の実施は、アスベスト関連疾患の発症率に対する即時の影響にはつながらず、そうした影響が現われるには数十年かかるかもしれない

オーストラリアのアスベスト禁止に至る道筋を理解することはアスベスト使用を続けている多くの諸国にとって重要である。しかし、これは、終わらない物語の一部に過ぎないことを理解することのほうがより重要である。アスベストの全面禁止は2003年に実施された。ほぼ15年後、オーストラリアだけがいま、進行中のアスベスト曝露のリスクを伴いながら、アスベスト関連疾患のピークを目撃しつつある。オーストラリア社会は、既存のアスベストまたはアスベスト含有物質への曝露や、規制が実施されているにもかかわらずオーストラリアに持ち込まれているアスベスト含有物質への曝露の公衆衛生リスクに対して気を配り続ける必要がある。公衆衛生研究者及びアドボケートとしてわれわれには、公衆衛生予防努力の有効性を判定するために、質の高い疾病監視と疫学研究を通じて、オーストラリアのアスベスト関連疾患流行のパターンを監視及び理解し続ける義務がある。

※原文:https://www.mdpi.com/1660-4601/15/2/384

筆者は、Matthew Soeberg1*, Deborah A. Vallance2, Victoria Keena1, Ken Takahashi1 and James Leigh1
1 アスベスト疾患研究所(ARI)、オーストラリア
2 オーストラリア製造業労働者組合(AMWU)、オーストラリア
*責任筆者

安全センター情報2023年5月号