「重大災害法で初拘束」アリセル・永豊、裁判所「犯罪は重大」/韓国の労災・安全衛生2024年08月29日
労働者23人が火災で命を失ったリチウム電池メーカーのアリセルと、この九ヵ月間に死亡事故3件が発生した永豊石浦製錬所の代表取締役が、「重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)」の施行後、初めて拘束された。裁判所は「犯罪容疑が重大だ」と判断した。
水原地裁が28日、アリセル・エスコネックのパク・スングァン代表理事(64)に拘束令状を発行した。同日行われた拘束前被疑者尋問(令状実質審査)が終わって、11時間後のことだ。代表の息子のパク・ジュンオン(35)アリセル経営総括本部長も拘束された。アリセルの安全保健管理担当者と人材派遣業者メイセルのチョン・ヨンファン代表(実所有者)には「証拠隠滅と逃走のおそれがない」として拘束令状を棄却した。
パク・スングァン代表は6月24日、華城の一次電池工場でリチウム電池に火が点いて発生した火災で23人が死亡し、8人が負傷した事故に関して、重大災害処罰法と派遣勤労者保護などに関する法律(派遣法)違反の容疑を受けた。捜査当局はアリセルが軍への納入期日に間に合わせようと、無理に目標生産量を増やし、人材派遣業者のメイセルから非熟練の移住労働者を大挙不法派遣され、安全教育をまともに実施しなかったと見ている。
検察はパク・スングァン代表に重大災害処罰法施行令の規定を多数適用した。具体的には△安全保健目標と経営方針の準備(4条1号)、△有害・危険要因の確認・改善手続き準備(4条3号)、△災害予防予算編成と執行(4条4号)、△安全保健管理責任者の業務遂行評価基準準備(4条5号)、△重大災害発生時に作業中止など、マニュアル準備(4条8号)など、安全保健管理体系の構築・履行義務に違反したと見た。
重大災害処罰法施行以後、二回目の拘束事例も続いて出てきた。29日、大邱地方裁判所安東支院は、最近九ヵ月間で労働者3人が死亡した永豊石浦製錬所のパク・ヨンミン代表理事と石浦製錬所のペ・サンユン所長に拘束令状を発行した。安東支院は「犯罪容疑が重大で、逃走のおそれと証拠隠滅のおそれがある」と、令状発給の理由を明らかにした。被疑者らは重大災害処罰法違反と化学物質管理法違反の疑いを受けている。
慶尚北道奉化郡の永豊石浦製錬所では、昨年12月6日、労働者1人がタンクモーターを交換していて、ヒ素中毒で死亡して3人が負傷する事故が起きた。今年3月には冷却塔の清掃作業をしていた下請け労働者1人が亡くなり、今月2日には熱中症で下請け労働者1人が死亡した。わずか一年も経たないうちに3人の労働者が亡くなったわけだ。それにも拘わらずパク・ヨンミン代表はSNSの内容を消すなど、証拠隠滅を試みたことが調査された。
経営責任者が捜査段階で拘束されたのは、アリセルと永豊石浦製錬所が初めてだ。2022年1月27日に重大災害処罰法が施行された後、毒性洗浄剤の集団急性中毒が発生したトゥソン産業の代表と、法施行以後に4件の重大災害が発生し、5人が亡くなったセアベスチールの代表に拘束令状が請求されたが、全て棄却された。検察としては四回の拘束の試みの末に令状を取ることになった。
2024年8月29日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者
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