ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会への意見書/2024年6月19日 全国労働安全衛生センター連絡会議、同メンタルヘルス・ハラスメント対策局
私たち全国労働安全衛生センター連絡会議は、労働者の立場に立って、長年にわたり労働災害や職業病に関する相談・支援にあたってきた団体や個人の全国ネットワークです。「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」の開催にあたり、労働者の職場環境や健康・安全の問題に取り組んできた立場から、以下のとおり意見を申し述べます。
1. ストレスチェック制度実施の現状について
2015年12月にストレスチェック制度の実施が始まり8年が経過し、多くの企業で職場改善の取り組みが進められるようになった一方、依然として制度を活用することができない企業も多くあります。
実施義務の対象となった事業所でストレスチェック制度は実施されていますが、労働組合や受検した労働者からの聞き取りによりますと、
- ストレスチェックが一次予防を目的としている、つまり職場改善をするための制度とは知らなかった。
- 安全衛生委員会で報告はあるが、集団分析結果を聞くのみで結果の読み解き方、改善へのつなげ方、活用法がわからない。
- 事業主側が、集団分析結果を意図的に安全衛生委員会・労働組合・当該労働者と共有しない。労働組合や労働者が結果の求めても、渡さない。
- 高ストレス者について、本人に結果が通知されても、医師の面接を希望するかは本人任せで、会社に知られることを避けたい、忙しくて暇がない、健康への過信などの理由で面接指導へつながらない。
- すでにメンタル不調であることが分かっているために、ストレスチェックを受検しない労働者がいる。
などという声が寄せられています。
すでに検討会では、これらについて意見が出ていますが、あらためて、これらの声について対策を検討していただくようお願いいたします。
要請項目
① 集団分析とその結果からの職場改善を事業主の義務とすること。
② 集団分析結果は安全衛生委員会で報告することを義務とすること。
③ 集団分析結果の読み解き方や活用法に関して、専門家のアドバイス等を受けることができるようにすること。
④ 高ストレス者が事業主に知らせなくとも、産業医に面接を申し出ることができるしくみとすること。
⑤ 50人未満の職場について
- ストレスチェックでなくても、簡単なアンケートやそれを使用してのグループ討論、アクションチェックリストによる参加型改善活動など、労働者が職場改善を意識するような取り組みの導入すること。
- 例えば、日々のミーティングで取り組めるような、1回15分、20分長くても30分で取り組めるような簡易なツールの開発
※ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38890.html
6月24日開催の第4回検討会資料には、この意見書は含まれていない。
安全センター情報2024年8月号