二週間で若い警察官が3人死亡・・・『他人事とは思えない』/韓国の労災・安全衛生2024年07月28日

22日、ソウル冠岳警察署の民願奉仕室の前に、自ら命を絶ったA警衛を追悼する謹弔の花輪がいくつも置かれている。/読者提供写真

最近、若い警察官の死亡事件が続き、警察内部で劣悪な勤務環境に対する不満が出ている。人手不足による過重な業務の集中と上級機関からの成果の圧力で、一線の警察官が過大な負担を感じているということだ。

この二週間に判った警察官の死亡事件は3件だ。18日と22日、ソウル冠岳警察署と忠清南道礼山警察署に勤務していた警察官が、自ら命を絶った。26日にはソウル銅雀警察署の幹部が脳出血で死亡した。同日、ソウル恵化警察署所属の幹部が飛び降りを試みたが救助され、治療を受けている。それぞれ業務ストレスを訴えていたと伝えられた。

死亡した3人は、新しい部署に発令されたばかりの若い警察官だった。いずれも、死亡前の過度な業務負担、新しい補職発令後の教育不足などを訴えていたという。

18日に死亡したA警衛(31)は、2月に冠岳署捜査課に発令されたが、前任者から引き継がれた事件だけで53件だった。A警衛は上級機関のソウル警察庁から「届けられて六ヶ月以上の長期事件を迅速に処理せよ」という指示を受けて、圧力を感じていたと伝えられた。特に死亡直前、周辺の人に「毎日出勤すると心臓が痛い、息ができない」とよく言っていたことが判った。冠岳署は「捜査官として保有事件が特に多いなどの情況は見受けられなかった」とし、「辛くて、下半期の人事で機動隊に転出する予定だった」と話した。

22日に死亡したB巡査部長(28)も、二月に予算署警備課に発令された。発令後、該当課に経歴の長い同僚がおらず、業務の把握に困難をきたしたという。このような状況で、国会議員選挙・集中豪雨による災難状況室の運営などを担当し、負担と過労を訴え、精神科の診療を受けて、うつ病と自殺衝動に対する相談をしてきたが、亡くなった。

警察内部では、続く死亡事故に「他人事ではない」という反応が溢れた。A警衛の死亡後、冠岳署の前には同僚たちが送った「守れなくてごめんなさい」「指揮部は答えろ」などと書かれた謹弔の花輪が数十個置かれた。警察内部のネットには「捜査官が耐えられないほど幾何級数的に事件が増えた。」「一線職員の叫びを知らない振りをしないで欲しい」などのメッセージが上がってきた。

一線の警察署に勤めるある警察官は記者との電話で、「刑事機動隊と機動パトロール隊を作る組織改編を行い、一線の人材が大幅に減った。」「人材不足で、業務が過重で、中間管理者クラスも、新任警察官が業務に適応できるように助けるのは難しいと吐露している」と話した。一線の警察署に勤めて5年目の捜査官は、「体系的な捜査教育システムもない上に、問題を提起すれば『内部から銃を撃つ』と名指しされるので、初級幹部たちはあきらめる。」「若い幹部たちの間では、『脱警(警察官辞職)』を準備するのが当然なほどに深刻な状況」と話した。

全国警察職場協議会は声明書で「初任捜査官の自殺選択の裏面には、警察の捜査現場の深刻な問題が存在している。」「実績中心の評価と、機動パトロール隊・刑事機動隊の新設という組織改編で、現場の人材不足が捜査警察の業務に一層の困難をもたらした」と話した。合わせて「警察庁長は実績中心の成果評価を直ちに中止し、人材を原状復帰させるべきだ」と要求した。協議会は29日、ソウル西大門区警察庁の正門前で、勤務環境の改善を追求する記者会見を行い、一人デモを続ける予定だ。

警察庁は26日、「続いて起こった警察官の死亡事件に関して、問題の深刻性を認識し、精密な実態把握をすることにした。」「現場の勤務条件の実態診断チームを設け、構造的な問題点を調べて、勤務条件の改善など、士気高揚に取り組む計画」と話した。

2024年7月28日 京郷新聞 ペ・シウン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202407281501001