新しいEPAの規則は画期的な前進だが、致命的な化学物質の輸入をすべて禁止するものではない/US ADAO Press Release, 2024.3.18
教育、アドボカシー、コミュニティ活動を通じてアスベスト曝露の防止に取り組む独立的非営利団体であるアスベスト疾患啓発機関[ADAO-アメリカのアスベスト被害者団体]は本日、環境保護庁(EPA)によるアスベストの一種-クリソタイル-の輸入と使用を禁止する第1部規則の最終決定を、この致命的な化学物質との闘いにおける画期的な前進と評価する一方、規則の適用範囲が限定的であるため、アメリカ人を完全に保護することはできないと強調した。
「EPAが、6種類の致命的なアスベスト繊維のひとつであるクリソタイルアスベストの輸入と使用を禁止する第1部規則を最終決定したことを称賛する。クリソタイルの輸入に門戸を閉ざすことは歴史的な一歩だが、EPA規則は他の5種類のアスベスト繊維の輸入と使用を制限するものではない」と、ADAOの共同創設者で代表のリンダ・レインステインは述べた。
「塩素アルカリ、ブレーキブロック、化学・精製部門における原料アスベスト及びアスベスト含有ブレーキブロックとガスケットの使用者は、最終的にノンアスベスト技術への移行が義務付けられるが、この規則が不必要に長い移行期間を許容し、特定のアスベスト使用者に一貫性のない遵守期限を設けているため、クリソタイルアスベストへの危険な曝露が今後何年も続くことになると憂慮している」と、彼女は言う。
ある塩素アルカリ会社は、2022年に300トン以上の原料クリソタイルアスベストを米国に輸入した。
この規則で扱われていない5種類のアスベスト繊維は、クロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトである。アドボケート、科学者、労働組合、公衆衛生団体、そしてアスベスト被害者は、1989年に業界の法的異議申し立てによってEPAの当初のアスベスト規則が無効になって以来、6種類の発がん性アスベスト繊維すべてを禁止するためにたゆまぬ努力を続けてきた。
「EPA規則の限定された範囲は、アスベストの輸入と使用は、アスベスト繊維6種類すべてとすべての用途を禁止する包括的なアスベスト禁止法を議会が制定して初めて終わることを強調している。アスベスト関連疾患の悲劇から解放される未来への道を開くために、議会はアラン・レインステイン・アスベスト禁止法(ARBAN)を可決しなければならない」と、レインステインは語った。
「法律が制定されなければ、クリソタイルと同じ致死性をもつアスベスト繊維に現在も将来も曝露し続けることになる」と、ADAO顧問のボブ・サスマンは言う。「議会は、6種類のアスベスト繊維をすべて禁止することで、この曝露に歯止めをかけることができる」。
微細なアスベスト繊維は吸い込むと肺に留まり、肺組織を刺激する。曝露露は石綿肺、胸膜疾患、肺がん、中皮腫、喉頭がん、卵巣がんなどを引き起こす可能性がある。
1991年から2021年までに、100万人以上のアメリカ人が予防可能なアスベストが原因の疾患で死亡した。詳しくは、ADAOの「2023年版アスベスト包括報告書:アスベストの輸入、使用、人の健康に対する影響、現在の規制と政策の分析」を参照されたい。
安全センター情報2024年5月号