企業の災害率が1%上がると、労働生産性は383万ウォン減少/韓国の労災・安全衛生2024年04月22日

企業の労働災害率が1%上昇すれば、労働生産性が約383万ウォン減少すると分析された。労働災害による人命被害は、長期的に企業の生産性悪化の要因として作用し得るということだ。

労働生産性の低い企業・・・労災の影響が大きい

安全保健公団・産業安全保健研究院のパク・ソンヨン、キム・ミョンジュン研究委員が作成した「産業災害が製造業の生産性に与える影響分析」は、製造業の上場企業1009社の2015~2022年の災害現況と財務諸表などを分析した。

分析期間中に対象の企業で発生した労災被災者は2万3603人で、事故による被災者は1万4325人。この内、死亡者は136人だった。年度別推移では、労災被災者は2015年の2188人から2022年の4257人に増加した反面、事故死亡者は2015年の17人から2022年10人に減少した。但し、2022年の分析対象企業の事故死亡万人率は平均0.1162で、韓国の事故死亡万人率(0.43)と比べるとかなり低いレベルだ。

企業の災害率が1%増加することによって減少する労働生産性は約383万ウォンで、分析対象企業の一人当りの付加価値の平均(9827万ウォン)の3.9%の水準だった。

特に、労働生産性が高い企業に比べて、労働生産性が低い企業での、労災発生による労働生産性の悪化がより大きくなった。研究陣は「労働生産性の平均を基準にして、平均より低い企業の従事員数は平均562人で、一人当りの売上額は6億700万ウォンだが、労働生産性が平均より高い企業の従事者数は平均1365人で、一人当りの売上額は19億8300万ウォンと、労働生産性の高い企業が、従事員の規模や売上額の全てで規模が大きいことが明らかになり、このような特性が、労災の労働生産性減少の影響における格差を誘発したと解釈される」と説明した。

50人未満で災害率が1%増加すれば、労働生産性が3千万ウォン減少

相対的に労災発生の影響を多く受ける企業群もあった。低位技術群(飲食料品とタバコ製造業、繊維と革製品製造業など)と高位技術群(電気と電子機器、精密機器製造業など)では、労働災害が発生した時の労働生産性に、統計的に有意な否定的な影響を与えることが判った。

企業規模が小さいほど、労働災害が発生した時の労働生産性が落ちた。50人未満の企業で災害率が1%増加すればは、労働生産性を約3138万ウォン減少させることが明らかになり、50~100人未満企業では、約325万ウォン減少させると推定された。報告書は「50人未満の企業の労働生産性が約2億ウォン、50~100人未満では約1億ウォンであることを勘案すれば、相当な影響と見られる」と指摘した。

労働環境の肯定的な変化が労災の減少に好影響を与えるという分析もあった。研究陣は「労働生産性の向上が、企業の実績改善、賃金と福祉水準の向上、労働環境の改善など、直・間接的に労災の減少に肯定的な影響を与えるであろうことを示唆する。」「雇用の安定性の向上が労災を減少させるであろうことを示唆する結果も出てきた」と説明した。

パク・ソンヨン研究委員は「労災が被害者個人だけでなく、産業と企業の成果にも否定的な影響を及ぼすであろうことを実証的に明らかにした研究」で、「労災予防のための政策と努力が重要であることを示唆している」と強調した。

2024年4月21日 毎日労働ニュース カン・ソギョン記者

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