「一日7.5時間勤務も過労に」・・・脳出血労働者に労災認定の判決、労災不承認を取消 2023年08月26日 韓国の労災・安全衛生

マクドナルドで週五日、一日7.5時間ずつハンバーガーの調理をしていた労働者が、脳出血で倒れた事件が労災と認定された。

裁判所は「発病前の12週間、週平均60時間(4週間、週平均64時間)」となっている脳心血管系疾病認定基準(雇用労働部告示)を満たさなくても、業務上過労になり得ると判断した。

ソウル行政裁判所は23日、A(60)さんが勤労福祉公団に提起した療養不承認処分取り消し訴訟で、原告勝訴判決を行った。

Aさんは2014年10月10日から6年ほど、ソウル江西区のマクドナルド塩倉DT店の厨房でハンバーガーの調理業務を行った。

労働時間は休憩時間30分を除いて、午後3時から夜11時までの1日7.5時間(週5日)だった。

Aさんは2020年2月に新しく赴任してきたマネージャーと勤務時間の変更問題で揉め、他の20・30代の同僚の労働者とも折り合いが悪かった。このため、同年10月24日に店長に退職を申し出た。

Aさんは店長の説得で11月2日から再び勤務を始めたが、復職から5日後の11月7日に、午前1時まで夜間勤務をしろというマネージャーの指示を受けて出勤し、仕事中にトイレで意識を失った。脳出血と診断されたAさんは手術を受け、未だ挙動が難しい状態だ。

Aさんは業務と脳出血の間に因果関係があるとして労災を申請したが、勤労福祉公団はこれを受け容れなかった。

一審の裁判所の判断は違った。裁判所は「過度なストレス、急激な業務環境の変化、温度の変化に露された業務、夜間勤労など、業務上の要因で脳出血が自然的な経過よりも早く、重く発生したと見るのが妥当だ」とした。

裁判所は脳心血管系疾病認定基準を機械的に適用しなかった。「Aさんの業務時間は、発病前の4週間、週平均64時間、あるいは12週間、週平均60時間に達してはいないが、業務時間は業務上過労を判断する時の一つの考慮要素に過ぎず、絶対的な判断基準にはならない。」「むしろ、Aさんが発病当時56歳の女性だった点を考慮すれば、週五日を夜11時まで働き、睡眠時間の不足などで相当な精神的・肉体的な疲労を感じたものと見られる」とした。

また「Aさんが脳出血を起こすほどの職務ストレスにばく露されていなかった」という大韓医師協会の鑑定結果にも依存しなかった。

裁判所は「普通の平均人ではなく、Aさんの個別的な状況を基準に見れば、Aさんは脳出血当時、相当な職務ストレスを受けていたと評価するのが妥当だ」とした。

2023年8月28日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202308282137025