公務員は職場内いじめに遭わないのか・・・申告が難しく報復が怖い 2023年08月21日 韓国の労災・安全衛生
「地方議会の公務員です。上級者の暴言で自治体の調査部署に申告し、録音記録と録音ファイル、精神科の診断書を添付したのに、ずるずると続いた調査の結果、訓戒という結論が出ました。人事記録にも残らない注意だけを与えたのです。公務員の身分で内部組織以外に問題を提起できる手段があるでしょうか?」先月、職場の甲質119のカカオトークに申告されたある地方自治体公務員の情報提供の内容は、依然として職場内いじめの申告制度を信じられない公職社会の現実を示している。
職場の甲質119が発行した「2023年、17広域市・道の職場パワハラ報告書」によれば、2020年~2023年5月までに全国の広域自治体で発生した職場内いじめに関する申告は557件だった。年平均163件だ。広域自治体の本庁の公務員数(5万5037人)比の0.3%で、これは職場の甲質119が今年6月に会社員1000人を対象に行ったアンケート調査で明らかになった、会社員の平均職場内いじめの申告比率(2.8%)と比べて著しく少ない。職場の甲質119は、「共に民主党」のオ・ヨンファン議員を通して各広域地方自治体から受け取った、職場内いじめ事件・申告処理状況、条例など、関連する制度の状況などを分析して報告書を作成した。
職場の甲質119は、公務員の職場パワハラの申告が少ない背景として「閉鎖的な公職社会の雰囲気をから推量すれば、いじめられても申告できない組織文化が形成されているのではないかを点検する必要がある」と指摘した。勤労基準法の適用を受けない公務員は、形式的には職場内いじめ禁止法の保護の外にいる。政府は職場内いじめによる公務員の死亡が続いて、2018年に『公共分野のパワハラ根絶総合対策』(総合対策)と、これを具体化したガイドライン(2019年)を発表した。これらの規定によって、17広域市も全て職場内いじめなど、公共部門のパワハラを防ぐための条例を作成した。
問題はこれらの条例が職場内いじめ禁止法の趣旨と判例、総合対策の内容を正しく盛り込めていないことだ。実際、地方自治体の関連条例を調べてみると、職場内いじめ禁止制度で最も重要な被害者保護に関して、加害者との『分離措置』を条例に明示しているところは、釜山・仁川・蔚山・済州の四ヶ所だけだった。
地方自治体11ヶ所は、被害者の申告を萎縮させる条項である『虚偽申告制限』まで条例に含ませていた。『虚偽申告時、条例による保護の不可』『虚偽申告時の懲戒処分要求など、必要な措置』といった内容を条例に書くというやり方だ。「申告以後にどんな報復措置が下されるか、余りにも恐ろしい」(2023年7月Eメール情報提供)、「申告をしようとしても変化がなく、上層部で情報を共有して不利益だけがあるのではないかと心配だ」(2023年7月カカオトークによる情報提供)などが、公務員の情報提供が職場の甲質119に繋がった背景だ。
申告が容易でない状況で、定期的な実態調査はそれなりに職場のパワハラを発見できる有力な方法だが、総合対策の内容通りに、半期毎に公共分野のパワハラに関する実態調査を行った地方自治体は、一ヶ所もなかった。自治体の六ヵ所が一年周期で実態調査を行っているが、世宗、全羅南道、江原道は、総合対策を発表した後に一度も実態調査を行っていない。
職場の甲質119はこうした調査結果を発表し、「被害者を保護せず、虚偽申告処罰で脅迫する条例を改善しなければ、職場のパワハラによる公務員の自殺を防ぐことはできない。」「職場内いじめ禁止法を公務員に適用したり、代替立法に取り組むべきだ」と明らかにした。
2023年8月21日 ハンギョレ新聞 キム・ヘジョン記者