下請け労働者に対する元請けのパワハラは死角地帯 2023年07月13日 韓国の労災・安全衛生

「共に民主党」キム・ヨンジン議員室

「元請け職員にセクハラを受けて、元請けにそれを知らせてからかなり経ちましたが、変わることはありませんでした。加害者は懲戒されず、私は加害者と毎日職場で顔を合わさなければなりませんでした。その後も、加害者は私の腰に触ることがありました。性的な羞恥心と自虐感がありました」(下請け労働者のAさん)

職場の甲質119が12日に行われた『パワハラ禁止法施行4年、死角地帯解消方案討論会』で発表した元請けのパワハラ事例103件の中の一つだ。元請けのパワハラ事例の中で最も多い類型は、下請け労働者に対するいじめ(55.6%)で、元請けの人事介入(23.5%)、下請け業者の変更(13.1%)などが続いた。

職場内いじめ禁止法が施行4年になったが、下請け労働者に対する元請け会社のパワハラを止めることができないという批判が強い。この日の討論会では、元請け職員のいじめ防止のために、元請け事業主も職場内いじめ防止法(勤基法)上の事業主と規定するように法を改正すべきだという提言が溢れた。

元請けと勤労契約を結んでいない下請け労働者は、元請け職員のいじめには「お手上げ」

下請けの労働者に向けた元請け職員のいじめは、労働関係法では手が出せない。下請けの労働者は元請けの使用者と勤労契約を結んでいないために、法の適用を受けられない。現行の勤労基準法によると、下請けの労働者は下請け業者の使用者にだけ職場内いじめを申告できる。下請けの労働者が問題を提起すれば、元請けが下請け業者と契約を解約するケースも起きる。

その結果、下請けの労働者は、元請けの職員や使用者からのパワハラを我慢したり、知らない振りをすることになる。実際、職場の甲質119が先月9~15日、全国の満19歳以上の会社員1千人にアンケート調査をした結果、下請けの労働者に対する不合理な処遇を経験したり目撃した回答者の中で、60.3%は、我慢したり知らない振りをすると答えた。

国会には、これを解決するための法案が発議されている。正義党のカン・ウンミ議員、国民の力のイム・イジャ議員、無所属のユン・ミヒャン議員、共に民主党のミン・ホンチョル議員、カン・ビョンウォン議員は、元請け職員の職場内いじめも職場内いじめの範囲に含むための勤労基準法改正案を発議した。元請け職員のいじめを第三者あるいは特殊関係人によるいじめと見て、下請け業者に保護措置義務を賦課したり、(イム・イジャ、ユン・ミヒャン議員案)、職場内いじめを申告した下請け労働者が所属する業者との契約解約を禁止する内容(カン・ウンミ議員案)が代表的だ。職場内いじめの規定の適用を受ける使用者に元請けを含ませて元請け責任を明確にしたり(ミン・ホンチョル議員案)、元請けを使用者と看做して元請け責任を明確にする(カン・ウンミ議員案)案も出た。

勤基法・派遣法・労組法にメスを入れるべき

ユン・ジヨン弁護士とチョ・ヨンミン弁護士は同日の討論で、元請け職員から職場内いじめを受ける下請け労働者を保護するために、派遣法と勤労基準法、労組法の改正が必要だと提言した。

核心は、下請け労働者に対する職場内いじめに、元請けは責任を負うべきだということだ。派遣法では、派遣先事業主を使用者と見る要件が羅列された34条(勤労基準法適用に関する特例)に、元請け職員のいじめに対する職場内いじめの申告が追加されるべきだと提言した。派遣元事業主には、派遣勤労者に対する保護義務と安全配慮義務があるというのが理由だ。勤労基準法改正では、元請けが職場内いじめの使用者として措置義務を負担すべきだとした。根本的には、元請けの事業または事業場で、常時行われる業務を担当する労働者は、元請けが直接雇用する義務を明示するように勤労基準法を改正し、勤労条件に対して、実質的で具体的に支配・決定できる地位にある者を使用者と見る、という内容への労組法の改正が必要だとした。

2023年7月13日 毎日労働ニュース イム・セウン記者

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