「5日間ずっと朝9時出勤、夜12時退勤?」労働者を過労に追い込む尹錫悦政府 2023年3月6日 韓国の労災・安全衛生
尹錫悦政府が6日、一週間最大69時間まで働かせる勤労時間改編案を確定した。政府は労働者の健康権保護のための対策を準備したと強弁したが、特定週にまとめて働く形の不規則な労働も、やはり労働者の健康に大きな悪影響を与えるという点で、労働界の反発が大きい。
雇用労働部はこの日、このような内容を骨子とした『勤労時間制度改編方案』を発表した。政府の対策の核心は、『週52時間制』に大幅に手を入れることだ。現行の勤労基準法によれば、一週間40時間に12時間の延長勤労しか認められていない。この延長勤労の単位を労使合意によって、一週間単位の他に一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月、一年単位を選択できるようにするということだ。
こうなれば、特定の期間に仕事をまとめて行うことになり、過労の危険性は大きくならざるを得ない。これを防止するためとして出した対策は、勤労日間に11時間連続の休息を付与して週最大69時間働く方案や、11時間の連続休息なしに働く場合、週最大64時間働くことを許容するということだ。事実上、徹夜の夜勤をして、正常出勤する勤務も可能になるわけだ。
また、延長・夜間・休日労働に対しては、賃金または休暇で代えることができるように『勤労時間貯蓄口座制』を導入することにした。政府は既存の年次休暇と結合すれば、「安息月」「一ヶ月暮らし」など、長期休暇も可能だと付け加えた。
労働界はこの政府の対策に対して、『過労死助長法』だとして強く反発した。
民主労総は論評で「朝9時に出勤して夜12時に退勤する労働を、五日連続でさせても何の問題もない状況を作った」とし、「雇用労働部が自らの存在理由を忘れている」と批判した。
民主労総は「政府は休日を増やし、実際の労働時間を短縮すると言っているが、慢性的な低賃金構造で、労働者が自らの健康に致命的な害になるということを知りながらでも延長と残業を拒否できない状況で、これは言葉遊びに過ぎない」と指摘した。
また「『勤労時間貯蓄口座制』は、生活と生存が難しく、実質的な強制労働に追い込まれている労働者に、手当てをあきらめて休息を取れということだが、これは小さな事業場、低賃金労働者には死刑宣告と同じだ」と付け加えた。
民主労総は「政府は、何よりも自律と選択を強調し、勤労時間制度の過度な硬直性から抜け出すべきだと主張しているが、雇用労働部の勤労監督行政の不在で、現行法さえまともに守られていない私たちの社会の労働の現実を見れば、これは結果的に労働者が選択するのではなく、使用者の選択権にならざるを得ない」と批判した。
民主労総は「何よりも、労組がない大多数の労働現場には、労働者に選択権は全くない」とし、「結局、政府が強調する労使当事者の選択権という、実際の現場で一方的な決定権を持つ使用者の利益、経営上の効率性の向上と、労働者の統制を強化することに帰結せざるを得ない」と憂慮した。
韓国労総も「政府改編案は時代錯誤的な超長時間圧縮労働助長法」と批判した。
韓国労総は「政府は11時間連続して休息をしたければ、一週間に69時間以上働くか、そうでなければ、一週間に64時間まで働けということだ。労災の過労認定基準である一週間64時間を満たせという話だ」とし、「死ぬ直前まで働かせることを許容し、過労労災は認めない道を、政府が提示したのと同じだ」と批判した。
韓国労総は「労働者は機械ではない。特定の時期に集中的に働き、その後、休息と安定を取るからといって、絶対に健康を維持することはできない。」「労働時間は絶対に譲歩できない労働者の生存権と生命権が懸かった問題」と言い切った。
一方、政府の対策は大半が立法事項だ。政府はこの日から40日間の立法予告をした後、6~7月頃に国会に政府案を提出する予定だ。但し、国会で過半数の議席を占める「共に民主党」と「正義党」が反対している状況で、国会通過の可能性は低い見通しだ。
民主党は政府の対策が発表された後、ブリーフィングを出し「長時間労働のための法改正には絶対に同意できない」とし、「より長時間働けという尹錫悦の労働改悪を防ぐ」と明らかにした。
正義党も「過労死助長政策と言えるほど、健康権、労働権に致命的な労働改悪」とし、「政府がこれを強行するのなら、国会内外のすべての努力を尽くして、必ずこれを阻止する」と予告した。
2023年3月6日 民衆の声 ナム・ソヨン記者