仕事を始めて病気に罹った宅配労働者 2022年8月25日 韓国の労災・安全衛生

チョン・ギフン記者

宅配労働者が宅配業務を始めた後、以前と比べて4倍以上の腰痛を経験していることが判った。腰痛以外の病気を訴える割合も宅配業務開始後に大幅に増えた。

韓国労総中央研究院と韓国労総全国連帯労組宅配産業本部は宅配労働者の労働と安全保健討論会を開催して、このように明らかにした。最近、労働環境の実態調査を実施した結果、回答者210人の内、宅配業務を始めた後で腰痛を経験した比率は67.6%だった。宅配業務開始前の17.6%より4倍ほど高い。他の疾病も同様だった。肩や首、腕のような上肢筋肉痛を経験したという割合も、宅配業務開始前の30%から開始後の71.%に、2倍以上増えた。下肢筋肉痛(71.4%)や腹痛(35.2%)、痔(21.4%)を患った経験も、業務開始前より高かった。

暑かったり寒い作業環境が3.98点、上級者との揉め事は3.51点

疾病の原因を一つ挙げることは難しい。疾病の原因に付いての認識を5点の尺度で調査した結果、13項目すべてで3.5点を超えた。労働環境全般が疾病の原因になっていると認識しているということだ。暑かったり寒かったりする作業環境が問題だという認識が3.98点で最も高く、△業務中に発生する粉塵(3.89点)、△過重な物量(3.85点)、△顧客との葛藤と長時間労働(3.82点)、△短い休息時間(3.8点)が後に続いた。上級者と職員の間のトラブルのような業務関連ストレス(3.51点)が最も低かった。

労働者たちは健康への脅威を解消するために作業環境を改善すべきだと口を揃えた。健康管理と労災予防に必要な要因を訊いた結果、基本の重量制限を軽くするべきだという指摘が4.35点で最も高かった。ハブ・サブターミナルの改善(4.23点)、一日の最大業務時間の制限と夜9時以後の配送禁止(3.76点)が後に続いた。一日の最大配送物量を制限する項目は3.29点で相対的に低かった。物量が減れば収入が減少するためと見られる。

韓瑞大学のチェ・ソヨン教授(保健相談福祉学)は「腰痛と関連した腰・肩・足と膝の痛みは、大部分が筋骨格系関連の疾病で、宅配労働者は業務の特性上解決できない部分と認識していた」とし、「現実的な重量物の制限基準作りと、適正料金の設定で、業務負担を緩和した宅配料金を現実化すべきだ」と強調した。

不当な処遇改善のために労組加入、手数料引き上げの要求が大きい

宅配労働者たちは会社の不当な待遇から保護を受け(54.7%)、劣悪な処遇を改善するために(43.3%)、労組に加入したことが分かった。半分以上(54.7%)が労組に満足しているが、一部(37.6%)は「普通の水準」だと認識し、満足していないという回答は6.3%だった。

労組が今後集中すべき分野を尋ねた結果、手数料の引き上げ(51%)と支店(ターミナル)の作業環境の改善(15.7%)が最も高かった。週休二日制の導入に集中すべきだという認識も10.5%だった。

宅配1件当りの平均配送手数料が700~800ウォン(52.9%)で、一週間の平均勤務日数が6日(97.1%)という現実が反映されていると見られる。中央研究院のウ・サンボム研究委員は「労組の満足度が半分を若干越えるレベルなので、手数料引き上げなどの積極的な活動が必要で、積極的な意思決定組織に参加して、労組の集団的な発言権を拡大すべきだ」と強調した。

2022年8月25日 毎日労働ニュース イ・ジェ記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=210628