貨物労働者の所得は増加、労働時間は減少 2022年5月31日 韓国の労災・安全衛生
貨物自動車の安全運賃制の導入以後、貨物労働者の所得は増加し、勤労時間は減少したと調査された。韓国交通研究院は30日、ソウルの全経連会館で討論会を行い、2月に国土交通部に提出した「貨物車安全運賃制の成果分析と活性化方案研究」報告書の一部を発表した。公共運輸労組貨物連帯本部は同日の討論会で、貨物車安全運賃制の施行効果が確認された以上、適用対象を拡大し、(定めれた期日に無効になる)日没制を廃止すべきだと主張した。
コンテナ、セメント車主の月収が、それぞれ73万ウォン、223万ウォン増加
月間労働時間はコンテナ車主で5.3%、セメント車主で11.3%減少
2020年の安全運賃制の施行以降、コンテナ、セメント貨物車主の月の純収入は有意義に増加したことが分かった。昨年コンテナ車主の月の純収入は373万ウォンで、2019年の300万ウォンに比べて73万ウォン増加した。 昨年セメント車主の一ヶ月の純収入は424万ウォンで、2019年の201万ウォンに比べて2倍以上も増えた。
月収が増加したことによって、コンテナ、セメント車主の月間労働時間は短くなった。コンテナ車主の勤労時間は、2019年の292.1時間から昨年は276.5時間に、5.3%短縮し、同期間、セメント車主の月勤労時間は、375.8時間から333.2時間に、11.3%短くなった。安全運賃制が貨物車主の労働環境の改善に肯定的な影響を及ぼしたと評価される。
安全運賃制の導入後、貨物運送業界の多段階取引慣行も改善されたことが分かった。コンテナ品目で三段階以下の取引比率は、2019年の94%から昨年は98.8%に増加した。価格入札による運送契約が減少し、市場競争が緩和された効果も確認された。貨物連帯本部のパク・ヨンス政策企画室長は「荷主が支給する運賃が決定されているため、これといったサービスもせずに中間で手数料を取っていく業者が、自然に淘汰されている」と説明した。
事業用特殊牽引車の交通事故件数が2.3%減、
負傷者は1079人から991人に減少
貨物自動車安全運賃制は、貨物車主に適正な所得を保障し、過労・過積載・スピード違反を解決し、交通安全を向上するために導入された。韓国交通研究院によると、安全運賃制の適用対象であるコンテナとセメント車種を含む事業用特殊牽引車の交通事故件数は、2019年の690件から2020年の674件に、2.3%減少した。事業用特殊牽引車の交通事故による負傷者は、2019年の1079人から2020年の991人に、8.2%減少した。
安全運賃制が、過積載・スピードの改善に及ぼす影響は、明確に判断できなかった。(事業用特殊自動車に対する)過積載取り締まり件数は、2019年7502件から7404件に、1.3%減少した。スピード違反の取り締まり件数は、2019年の220件から224件へと、1.8%増加した。 但し、貨物連帯本部と韓国安全運賃研究団が、安全運賃制施行前後の貨物車主を対象に実施したアンケート調査によると、過積載の経験比率が、安全運賃制の施行以前の24.3%から施行以後は9.3%に減少した。過積載の原因は、荷主・運送会社の要求といった非自発的な原因が62.9%を占めた。「より多くの収入のために過積載をしている」という回答は、31.4%だった。
該当の調査で、スピード違反の経験比率も、安全運賃制施行以前の32.7%から、施行以後の19.9%に減少した。スピード違反の原因は、△貨物の到着時間遵守(48.6%)、△運送件数を高めて収益を増やす(25.7%)、△早く到着した後の休憩(6.8%)、△交通渋滞の回避(2.7%)、の順だった。パク・ヨンス政策企画室長は「韓国交通研究院の研究結果で、過積載・スピード違反に関して肯定的な指標が高くないのは、非自発的な過積載とスピード違反が含まれるためと見られる」と説明した。
貨物連帯本部「傾いた運動場のバランスを取る安全運賃制」
貿易協会「実験的な制度なので、予定通り日没にすべき」
貨物自動車安全運賃制は、貨物自動車運輸事業法(貨物自動車法)上の日没条項により、今年末まで一時的に施行されている。共に民主党のチョ・オソプ議員が昨年1月、日没条項を削除する貨物自動車法改正案を発議したが、国会の敷居を越えられていない。韓国交通研究院の研究結果を基に、早ければ来月から国会で関連の議論が始まる見通しだ。
荷主・運輸会社・車主間での安全運賃制の廃止に対する立場の差は大きかった。韓国交通研究院の調査で、コンテナ荷主の43.5%とセメント荷主の80%が、安全運賃制は廃止すべきという立場を明らかにした。コンテナ運輸会社とセメント運輸会社は、それぞれ45%と20%が安全運賃制の廃止に賛成した。コンテナ車主の94.3%とセメント車主の84%は、安全運賃制を引き続き施行すべきだと答えた。韓国貿易協会のイ・ジュンボン物流サービス室長は「安全運賃制は実験的な制度なので、予定通り日没にすべきだ」とし、「供給側と需要者側の共生が可能な、合理的な市場料金が決定されるように考える時」と話した。全国貨物自動車運送事業連合会のチェ・ジンハ常務は「非常に競争が激しい貨物運送市場には、荷主の優越的な地位が残っている」、「中小運輸会社に苦痛を与える市場構造を変えるためには、安全運賃制が必要だ」と主張した。
貨物連帯本部は安全運賃制の必要性を力説した。パク・ヨンス政策企画室長は「韓国交通研究院と韓国安全運賃研究団の研究で、安全運賃制導入以後、危険な運送形態が減少したということが共通的に確認された」と強調した。同時に「安全運賃制は、傾いた運動場である貨物運送産業でのバランスを取ってくれる制度」で、「安全運賃制が主体間の利害関係によって左右されてはならない」と主張した。
2022年5月31日 毎日労働ニュース シン・フン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=209173