韓国初の職業病モニタリング体系の構築、「職業病安心センター」オープン 2022年4月1日 韓国の労災・安全衛生
韓国で最初の『職業病安心センター』による職業病モニタリングシステムが構築された。労働者が来院した時から、専門医が職業歴を確認して報告するシステムを設け、職業病に素早く対応しようという趣旨だ。普通、因果関係が事後的に発見され、早期に認知しにくかったり、適切な治療時期を逃しやすい職業性疾病を、事前に発見して予防することに役立つものと期待される。
雇用労働部は1日、職業病安心センターが作られた漢陽(ハニャン)大学病院で開所式を行った。職業病安心センターは、地域別に、拠点の総合病院が中心になって、労働者の職業性疾病を見付け出す役割を担う。初期診断の段階から職業との関連性があるかどうかを調べ、疑われれば職業環境の専門医と連携して追加被害を予防するという方針だ。必要に応じて、専門医が原因調査に参加する。
これと共に、重大災害処罰法施行令に明示された24の疾病患者が発生した場合、直ちに地方雇用労働庁と労働部に報告する常時報告体系を設ける。疾病災害の捜査が必要な場合、疾病と職業との関連性について専門的な諮問を提供する機能も遂行する方針だ。施行令に明示された24の疾病としては、塩化ビニール・一酸化炭素に曝露して発生した中枢神経系の障害などの急性中毒、水銀やその化合物に曝露して発生した急性中毒、高熱作業・猛暑に曝される場所で行う作業によって発生した、深部の体温上昇を伴う熱中症などがある。今年2月、昌原市のエアコンの付属資材メーカーのトゥソン産業と、金海市の自動車部品メーカーのテフンR&Tの洗浄工程で働いた労働者が、集団で急性中毒の被害を受けたのも代表的な職業性疾病だ。テフンR&T事業場のショット処理工程では、体に異常を感じた一人の労働者が病院を訪れたが、早期に発見できずに苦労し、半月過ぎてやっと職業性の疾病と関連があることが判ったということもあった。
職業病安心センターの役割を果たすため、漢陽大学病院を含めた、国立中央医療院、ソウル医療院、ポラメ病院、ソウル大学病院など、12ヵ所が運営に参加する。労働部は今年2月に職業病安心センター運営事業の遂行機関を募集して、漢陽大病院が選ばれた。また、地域の拠点病院5ヵ所も今月中にオープンする予定だ。労働部は、病院を引き続き増やして行く計画だ。
アン・ギョンドク労働部長官は「瞬間的に起きる事故と違い、職業性の疾病は余り目に見えず、労働者たちも自分がどうして辛いのかも分からず、個人の疾患と考えてきた」とし、「職業病安心センターの積極的なモニタリング、捜査支援の経験が蓄積されれば、これまで事後的に把握されていた職業病の状況が詳しく分かるようになり、高危険な地域・職種別の職業病予防の活動がきちんと行われるだろう」と話した。
2022年4月1日 京郷新聞 ユ・ソンヒ記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202204011532001