労災(産災)療養中に別の病気で亡くなっても「業務上災害」 2021年10月08日 韓国の労災・安全衛生
採炭労働者が業務上の疾病とは別の疾患で死亡したとしても、既存の業務上疾病が死亡に影響を与えたとすれば、産災に該当するという判決が出た。
ソウル行政法院は採炭労働者のAさんの妻が、勤労福祉公団が遺族給付と葬祭料を不支給とした処分の取り消しを求めた訴訟で、原告勝訴判決を行った。
Aさんは1962年から鉱業所で約13年間、掘進・採炭の作業をした。その後、2016年に公団から特発性肺繊維化症を業務上疾病と認められ、療養に入った。
昨年2月に肺繊維化症と塵肺症による肺炎を発症して入院し、検査の結果、悪性リンパ腫(リンパ腺がん)が発見された。しかし既存の肺繊維化症などの肺疾患が重く、抗がん治療が難しかった。結局、保存的な治療だけを受けたが、同年4月に死亡した。慢性閉鎖性肺疾患が直接的な死因だった。
Aさんの妻は、既存の疾病が悪化して死亡に至ったとして、遺族給付と葬祭料の支給を請求したが、公団は既存の疾病と死亡の間の関連性が低いという理由で、拒否した。
しかし裁判所は「既存の傷病と死亡の間で、因果関係が断絶しているとは見難い」として、Aさんの妻からの請求を認容した。裁判所は「Aさんは悪性リンパ腫による肺炎が主な原因で死亡したが、従来の承認疾病が肺炎の発症または悪化に影響を与えたものと推測・判断される」とした。
更に「鑑定医は、Aさんの場合、悪性リンパ腫による閉鎖性肺炎が明らかで、塵肺と肺繊維化症によって肺炎が発生した可能性を排除できないという意見を出した」と、説明した。
裁判所は特に、既存の疾患が生存期間を短かくした要因になり得るとした。「肺炎は高齢に危険な疾患で、同時に肺疾患を有していれば死亡する可能性は極めて高まり」、「鑑定医は従来の傷病が存在しなかったとすれば、非ホジキンリンパ腫の全体生存率(5年生存率64%)と予後などに照らして見れば、適切な治療によって生存期間が永くなり得るという意見を出した」とした。
Aさんの遺族を代理したチョン・ヨンジェ弁護士は、「労働者がたとえ業務上の傷病でない別の傷病が原因で死亡したとしても、塵肺との合併症によって病気が悪化した可能性が排除できない場合に、業務と死亡との間の相当因果関係を認めた判決」と、その意味を評価した。
2021年10月8日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者
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