地方自治体が『外国人労働者に強制検査命令』、「嫌悪と差別」の批判集中 2021年3月19日 韓国の労災・安全衛生
京畿道を皮切りに、ソウル市など一部地方自治団体が、外国人労働者のコロナ19検査を強制する行政命令を施行したことに対し、『嫌悪と差別』だという批判が相次いでいる。
国家人権委員会は19日、チェ・ヨンエ委員長名義の声明で、「外国人は関連行政命令が嫌悪と人種差別のように感じられるとして陳情を提起し、これに対して、人権委は速かに差別と侵害の可否を判断しようと思う」と明らかにした。
ソウル市などは『外国人労働者を対象にしたコロナ19の全数検査』の行政命令を次々発表した。一人以上の外国人労働者を雇用する事業主に、すべての外国人労働者が検査を受けられるようにし、これに従わない時は200万ウォン以下の罰金に処されるという内容だ。
人権委は地方自治体の行政命令に『不法雇用外国人』『不法滞在外国人』などが反復して明示されていることについて、国連人種差別撤廃委員会が2018年に、韓国政府に『不法滞留者』などの卑下的な用語の使用撤廃を勧告していると指摘した。
人権委は、「これによって『外国人』は『コロナ19の診断検査が必要な感染病の疑いがある者』と『不法を行った犯罪者』に関連すると認識され、関連のニュースに、外国人に対する嫌悪のコメントも走った」として「移住民の排除・分離政策は、移住民に対する否定的な認識と差別を引き起こし、社会統合と連帯、信頼の基盤を揺さぶり、人種に基づく嫌悪犯罪にまで続きかねない」と批判した。
コロナ19人権対応ネットワークと移住労働者労組など市民社会団体は、外国人労働者への全数検査の方針に、『防疫のための最善の努力』ではなく、『移住労働者に対する嫌悪と人種差別に起因した政策であり、責任転嫁』だとする批判声明を発表した。
これら団体は強制全数検査の効果を主張する地方自治体に対して、「自発的な検査参加と強制出国の脅しの中止、更には住居と労働権の保障といった努力は、感染拡散の予防はもちろん、根本的な感染の脆弱性を改善できる方向」とし、「人間の尊厳性を保障する別の方法があるのに、強制検診だけを唯一の解決策のように言う」と叱責した。
今回の行政命令の法的根拠である感染病予防法の『感染病を疑われる者』の定義について、非常に包括的で曖昧で、差別的な行政命令が濫発されるという指摘も出た。現行法では、自治体長などは『感染病に感染したと疑われる者』に、健康診断などの色々な措置が執れる。
これら団体は、不特定多数に対する全数検査は、感染病の拡散予防の解決策にはならないと強調した。「感染病はウイルスへの曝露、伝播可能な時期、症状の発現など、連続的な経過を辿る」とし、「特定時点に行われた全数検査だけでは、感染病の拡散を予防できない」とした。
合わせて防疫政策を総括する中央災害安全対策本部に、今回の行政命令に対して明確な反対の立場を発表することと、各地方自治体に今回の行政命令を撤回することを要求した。
今回の行政命令に対しては、駐韓イギリス大使とソウル大が憂慮の声を出している。
民主労総も「海外から入国した移住労働者は、入国直後に一定期間の自宅隔離とコロナ19感染検査を受けた後に、社会的な活動が可能になる。したがって国内で活動中の移住労働者が陽性の判定を受けるとすれば、感染源は国内に存在するしかない」とし、「コロナ19陰性の判定結果を、移住労働者にだけ採用条件として要求することに実質的な効果は期待できず、移住労働者が感染源であるかのような烙印を押す効果しかない」と指摘した。
2021年3月19日 民衆の声 カン・ソクヨン記者