『診療補助』が代理手術までとは。 不法医療防止には医師を増やさねば 2020年8月6日/韓国の労災・安全衛生
「私たちの病院は2009年に産婦人科・外科など、専門医が不足している診療科だけで19人のPA(Physician Assistant=診療補助要員)看護師を選任しました。専門医の週当り修練時間を80時間に制限する『専門医法』が施行されてから、現在は66人にまで増えている状況です。インターンがしなければならない手術アシストはもちろん、手術が終わった後の縫合までPAがする診療科もあります。66人のPAを採用したということは、本来それをすべき66人の医師が必要だということです。」(上級総合病院24年目の看護師Aさん)
専門医のストライキを翌日にひかえた8月6日、民主労総・保健医療労組が行った記者会見で、保健医療労働者は医療の現場で『PA』と呼ばれる看護師が、不法に医者の業務を代行している実態を告発した。労組の説明を総合すれば、PAは2000年の医薬分業以後の20年間、医大の定員を固定したために医師の人員不足が生じて、これを解消しようと、大型総合病院などが恣意的に運営している職域だ。主に看護師・応急救助師・医療技師などが、病院の必要によってPAに選任される。労組は現在、全国の病院で1万人ほどの保健医療労働者がPAとして従事していると推定している。
昨年労組が全国29ヶ所の病院を調査した結果を見ると、PAは医師に代わって、△代理手術、△代理処方、△診断書・手術同意書などの作成、△盆・正月など医師不在時に医師の業務代行など、医師の不足によって生じた業務の空白を埋める役割をしていることが明らかになった。この日の記者会見で上級総合病院の看護師Bさんは「私たちの病院の看護師が、病院の指示で心臓超音波の代理検査と診断行為をして、最近告発された。病院が医師のIDとパスワードを看護師に教えて代理処方をするように強要したり、手術同意書を看護師に受け取らせた後、主治医の署名欄に担当医師の名前を勝手に書いたことも一度や二度ではない」と話した。
労組は、病院が医療法にもないPAを勝手に運営して患者の安全が脅かされているとして、医大の定員拡大と公立医大の新設を要求した。保健医療労組の首席副委員長は「不法医療行為根絶のために、医師の数を画期的に増やさなければならない」と主張した。
2020年8月6日 ハンギョレ新聞 ソン・タムン記者