配達単価を決め、相談を盗み聞きする『AI管理者』/韓国の労災・安全衛生2026年08月14日

労働現場に導入された人工知能(AI)が、むしろ労働強度や監視・統制を強め、労災リスクを増大させる可能性があるという指摘が出された。13日、ソウル麻浦区の参加連帯アラムドリホールで、金溶均財団が主催した『AIが労働現場と労働安全に与える影響』シンポジウムで、国民健康保険公団のカスタマーサポートと配達・流通・医療現場の労働者が、AI導入後に生じた変化と安全問題を証言した。
「やっと人が受け取りましたね」
健康保険公団の顧客センターでは、業務支援用のAIが労働の監視手段として利用されている問題が指摘された。相談内容を文字に変換するSTT(音声-文字変換)が導入された後、管理者が複数の相談者の画面を同時に表示し、相談内容をリアルタイムで確認し、相談中に業務に介入しているということだ。国民健康保険公団顧客センター支部長は「耳で聴く監視が、画面で見る監視に進化した」と指摘した。
相談員の仕事も更に難しくなった。単純な苦情の場合は、AIが一次的に処理する。顧客センター支部長は「複合的な苦情や例外事例、AIの段階で不満が蓄積された利用者が相談員に集中することで、相談の難易度が高まり、感情労働が増えた」と説明した。相談員の声や相談記録だけでなく、対応方法・経験・ノウハウまでがAIの学習データとして利用される。しかし、「利用目的や範囲に関する説明と労働者の同意が十分でない」と、健康保険公団の労働者たちは口を揃えている。
アルゴリズムのゲーム化、労災リスクが高まる懸念
配達現場ではAIが管理者の役割を果たしている。ライダーユニオン支部委員長は「『配達の民族』と『クパン』は、2020年から業務配分や報酬設定、プロモーション・ペナルティの付与にAIを利用している」とし、「同じ仕事をしているにも拘わらず、労働者毎に単価が異なるという報告があるが、労働者は、なぜ自分の単価がそのように設定されたのか解らない」と話した。
「ゲーム化」されたアルゴリズムによって、労災のリスクが高まるという懸念も出ている。プラットフォーム企業がミッションを提示し、ライダーの速度超過を引き起こすという指摘がある。実際、今年の雇用労働部の『配達従事者の有害・危険要因実態調査研究』によると、制限時間内に目標件数を達成するミッションに対する労働者のプレッシャーは、5点満点中平均4.66点だった。コール拒否や配車キャンセルによる不利益圧力も4.52点だった。
ライダーユニオン支部委員長は「以前は午後5時から午後8時までに、配達10件を完了すると2万ウォンを追加で支給するという『ミッション』があった。」「9件を達成しても2万ウォンを受け取れないため、信号を守ってミッションに失敗しそうな時に、違法なUターンをしなければならないのかで悩む」と訴えた。続けて「猛暑の中で、2万ウォンと言えば、最低でも2時間働かなければ稼げない。」「このような方法がスピード違反と過労を助長する」と指摘した。
流通・物流業の事業所に機械が導入された点も、労災のリスク要因として挙げられる。イーランド労組事務局長は「クパンやイーランドの物流倉庫などで、無人フォークリフトと自動運搬カート、AIシステムを組み合わせた無人物流倉庫が運営されている」と伝えた。今後、メーカーの物流システムと連携すれば、運転手を除いた入出庫や検品の全工程が無人化できると予想している。
人とAIの動線が異なるため、予期しない安全事故が懸念される。学校の給食室における『揚げ物ロボット』の事例が代表的である。センサーが作動しても、決められた時間内に仕事を終えるためには、人が危険区域に直接入ることがあるというのが労組の説明だ。イーランド労組事務局長は「間違いはAIが犯し、責任は人が負うという構造が生まれる可能性がある」と懸念を示した。
介護の現場からも、プラットフォーム労働のアルゴリズムによる統制など、デジタル監視の問題が指摘された。医療連帯本部事務局長は「介護労働も配達労働者、物流センター労働者、コールセンターの相談員、リモートワーカーが経験する、アルゴリズムによって制御され、管理される労働問題がほぼ同じ様に発生している」と指摘した。
2026年8月14日 毎日労働ニュース ウ・ダヨン記者
https://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=236247


