フローリング施工労働者の結晶性シリカ等ばく露による肺ガン、初めて労災認定。労働者性もポイント/韓国の労災・安全衛生2026年04月08日

▲ 資料写真 チョン・ギフン記者

マンションの建設現場で約30年にわってフローリング工事を行っていた労働者が肺ガンで亡くなり、勤労福祉公団から労災として認められた。フローリングを施工する労働者ので、肺ガンの労災が認められた初めての事例である。多くの労働者は作業中に発ガン性物質を含む粉塵にばく露される可能性が高いため、肺関連疾患の労災申請が続くと想われる。

<毎日労働ニュース>が入手した業務上の疾病判定書によると、ソウル南部業務上疾病判定委員会は先月6日、Aさんがフローリングを施工する過程で結晶形ガラスシリカにばく露されたとして、肺ガンと業務との相当因果関係を認めた。2024年10月に肺ガンと診断され、抗ガン剤治療を受けていたAさんは、労災認定の知らせを知らないまま、昨年2月に亡くなった。

コンクリート床の平坦化作業の過程で発ガン性物質に曝露

Aさんは1997年から27年以上にわたってマンションの建設現場でフローリング施工に従事し、2〜3ヶ月の間、咳などの症状が続いたために病院を受診し、肺ガンと診断された。Aさんは作業中に発ガン性物質である結晶性シリカやホルムアルデヒド、そして有害物質として知られるビスフェノールAなどに継続的に曝露されたとして、昨年、公団に療養給付を申請した。

床施工の作業工程は、タイルや壁紙など、前工程の作業者が現場に残した資材やゴミを清掃する現場整理から始まる。その後、床の段差をなくす作業、コンクリート床をグラインダーで平坦化する「ゲリング作業」、そこで発生した粉塵の清掃、フローリング材を切断し接着剤を混合する裁断作業、裁断したフローリング材を敷くフローリング施工、仕上げのシリコン作業の順に進む。 床施工に必要な原材料はフローリング会社が提供するが、産業用防塵マスクや集塵機などは提供されなかった。Aさんは、△ゲリング作業で発生するコンクリート粉塵に結晶形のシリカが含まれている点、△切断作業中にホルムアルデヒドを含むフローリング粉塵にばく露された点などを理由に、肺ガンは業務上の疾病であると主張した。

疾病判定委員会は「床施工業務の過程でコンクリート床の平坦化作業等を行ったとみられ、これらの作業の過程で結晶形ガラスシリカに曝露する可能性がある。」「勤務期間が比較的長期間であるため、結晶形ガラスシリカの累積ばく露量が相当であると判断される点などを総合的に考慮した結果、申請された疾病と業務との相当因果関係が認められる」とした。

換気装置の不備・マスク不支給、危険は「現在進行形」

Aさんの代理人のイム・ウンピョン公認労務士は、「作業現場には局所排気装置もなく、労働者にマスクが支給されないケースが多いが、Aさんだけでなく、多くのフロア施工労働者が依然としてこのように働いている」とし、「労災認定を機に、作業環境測定が産業安全衛生法に基づいて適切に行われるべきであり、事業主も産業安全衛生措置をしっかり実施すべきだ」と話した。

これはAさんだけの問題ではない。韓国フロア組合は、昨年6月24日から27日にかけて組合員84名を調査した結果、回答者の96.4%が「作業時に元請けやフロア会社がマスクを支給しない」と答えた。「自費でマスクを購入して着用している」と答えた労働者は50%で、その内、産業用防塵マスクではなく医療用マスクや認証外のマスクを着用していると答えた労働者は22.6%に上った。

委員長は「肺ガンと診断された労働者1名は、既に公団に労災申請を行っており、喘息など肺に関する疾患がある場合は集団労災申請の準備を進め、上半期内に申請する予定だ」とした。委員長は「会社はマスクすら支給せず、その費用を削った結果が労働者の死に繋がっただ」とため息をついた。

Aさんは生前、委員長に宛てた手紙で「30年間フローリング工事を続けた結果、残ったのは壊れた体だけで、(中略)貯めたお金もなく、肺ガンで稼ぐこともできず、苦しむ現実が胸が痛む」とし、「単価もそうだし、きちんとした建設現場が整い、品質も良く、労働者も希望を抱いて働ける社会になることを願う」と書いていた。

労働局、労働者性を初めて認定

フローリングを施工する労働者は労災だけでなく、複雑な雇用構造のために長時間労働や低賃金に苦しんでいる。労働契約を結んで働くのではなく、建設会社・フローリング製造・施工業者・違法下請け業者などの多段階下請構造の中で『坪単価』の慣行に従って坪単価を受け取っている。業績給の構造が原因で、一日に13〜14時間働き、週末も休めないというのが組合の説明だ。

最近、雇用労働部は、フローリングを施工する労働者が昨年12月に提起した賃金不払い等の訴えにおいて、フローリングを施工する労働者の労働基準法違反が確認されたとして、捜査に着手するか、罰金を科す措置を執ったと明らかにした。具体的な内容は、△労働基準法第36条(金品清算)違反、△労働基準法第17条第2項(労働条件の明示)違反、△労働基準法第43条第1項(賃金不払)違反、△労働基準法第48条第2項(賃金台帳及び賃金明細書)違反である。

これは、フローリング施工労働者を、労働基準法が適用される「労働者」と看做したことを意味する。委員長は「これまで賃金不払いの訴えを起こしても、労働者ではないという理由で行政処理が終了してきた」とし、「労働部が初めて労働者性を認めた事例だ」と話した。

イ・ミソ公認労務士は「労働局が数年、あるいは数十年にわたって続いてきた労働者性不認定の慣行にブレーキをかけたもの」とし、「形式上は坪単価を受け取っていても(実質的に)労働の対価と看ることに意味がある」と評価した。

2026年4月8日 毎日労働ニュース オ・ゴウン記者

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