適正な価格で施工しなければ労災は減らない/韓国の労災・安全衛生2026年02月24日

「数十年にわたり数多くの建設安全政策が実施されてきましたが、なぜ産業災害が止まらないのかを問いたいと思いました。」
韓国労働研究院は24日、『建設業の労働安全確保のための政策課題』シンポジウムを開催した。最近は死亡者数が減少傾向にあるものの、建設業は依然として全労災死亡事故の半数を占めている。2014年から2023年までの10年間で、建設現場で死亡した労働者は4422人に上る。
政府が重大災害の罰則強化、リスク評価の義務化、産業安全衛生委員会の設置など、制度を拡充したにも拘わらず、現場での実感は大して高くないという評価が出ている 専門家は、低価格落札と多段階下請けが組み合わさった産業構造を根本の原因だと指摘し、改善が進んでいないことを問題として指摘した。
IMF通貨危機以降、大手建設会社が施工機能を大量に外注化したことで、雇用構造が断片化し、責任主体が不明確になった。下請段階が下がるほど工事費は削減され、工期は短縮され、安全管理費が優先的に削減対象となる構造が、固定化したということだ。意思決定権は発注者と元請けに集中する一方で、事故の責任が下位に転嫁される慣行も繰り返されている。外国人労働者への依存が高まることや、高齢化に伴う熟練技術の継承断絶も、リスク要因として指摘された。
過度な外注化は、現場の安全投資の縮小と管理不備に繋がった。チョ・ソンジェ上級研究員は「自社の設備や熟練した人材を十分に備えていない業者でも、外注によって市場に参入する構造が固定化し、そこに価格重視の入札制度が組み合わさることで工事費と工期が過度に圧迫された」と述べた。
労組が安全よりも雇用と賃金を優先し、安全が核心課題として定着できていない点も、限界として指摘されている。その結果、リスク評価と安全教育が形式化され、災害が小規模な現場に集中する構造が固定化したという評価である。

専門家は、建設の安全は現場の『意識改善』だけでは解決できないと口を揃えた。公共部門から発注者の責任を強化し、適正な工事費と工期を制度的に保証すべきだという提言である。チョ・ソンジェ上級研究委員は「建設安全特別法の制定または既存法の改正によって、発注者・設計者・施工者の責任を明文化する必要がある」と話した。
低価格落札制度は、技術力に関係なく工事費を削減できるため、違法な再下請けや安全費用の削減を助長する。代替案として『賃金下限』を設ける適正賃金制度が提示された。労務費の中の賃金を法制度で保証すれば、価格競争による賃金削減が防がれ、企業は技術力と生産性で競争することになる、という説明である。公共発注の現場でこれを適用した事例では、落札率が90%以上に上昇し、国内の熟練労働者の雇用が拡大、労災や賃金不払いが減少したことが示された。適正賃金制度は、賃金保護を超えて違法な多段階下請けを抑制し、『適正価格施工』の構造を定着させる手段であると評価されている。
労働者の参加拡大の必要性も提起された。プラント建設業界では、地域単位の超企業交渉によって、作業中止権や猛暑対策、安全監視員の配置など、法令を超える安全基準を弘めてきた。一方、一般建設業では団体協約において、むしろ安全条項が縮小される傾向が見られる。高麗大学労働問題研究所のパク・ソングク研究委員は、「地域単位の超企業交渉は、個別現場の安全レベルを向上させる現実的な代替策になり得る」とし、「今年の黄色い封筒法の施行を契機に、元請・下請交渉において、安全条項が強化されることが期待される」と話した。
建設業の死亡事故の70%以上が発生している小規模事業所については、抜き打ち検査を強化し、安全管理能力のない限界企業は、市場から退場させるべきだという意見も出された。不良企業が低価格受注で市場を侵食すればするほど、技術力のある企業がむしろ不利益を被る構造を、是正すべきだということだ。
2026年2月24日 京鄕新聞 キム・ナムヒ記者


