密閉空間での窒息死亡事故、86%は酸素・有害ガス濃度を測定せず・・・「基本安全保健措置違反」/韓国の労災・安全衛生2025年10月9日

7月6日、40代の男性1人が心停止状態で救助され、50代の男性1人が行方不明になった仁川市桂陽区丙方洞のマンホール。 聯合ニュース

マンホールなど、密閉空間で作業中に窒息する事故が繰り返されているが、最近5年間に検察に送致された密閉空間窒息死亡事故の大部分が、酸素・有害ガスの濃度測定と保護具の提供など、基本的な安全保健措置をきちんと守らずに発生したことが判った。

国会・気候エネルギー環境労働委員会所属の「共に民主党」アン・ホヨン議員室が雇用労働部から提出された資料によれば、2021年から今年8月までに、検察に送致された密閉空間関連の重大災害事件は14件だった。この内の12件(85.7%)が酸素・有害ガス濃度を測定をしていなかったことが確認された。10件は(71.4%)保護具を提供せず、9件(64.2%)は監視員を配置しないなど、規定を破っていた。

密閉空間は換気がうまくいかず、酸素欠乏や有害ガスによる窒息、火災、爆発などの危険がある場所だ。ここで発生する窒息事故は致命率が高く、被災者の二人に一人が死亡するほどだ。最近10年間(2015~2024年)の窒息災害死亡率は42.3%で、1%内外の一般事故性災害死亡率の40倍を越える。

労働部は酸素・有害ガス濃度測定、換気実施、保護具着用を密閉空間作業必須三大安全規則として案内している。産業安全保健基準に関する規則第619条は、密閉空間での作業時に、事業主は酸素と有害ガスの濃度を測定し、適正な空気状態が維持されるかを評価するようにする責任がある、と明示している。換気が困難な場合、空気呼吸器または送気マスクのような保護具を支給しなければならない。第623条は、労働者が密閉空間で作業する間、監視員を指定して密閉空間の外部に配置し、作業者に異常がある場合、救助要請など、必要な措置を執るように規定する。

現在捜査中であるため、検察にまだ送致されていない事故まで勘案すれば、安全保健違反事例の規模は更に大きくなるものと推定される。今回の統計には、現在捜査中のソウル衿川区と仁川桂陽区のマンホール死亡事故などは含まれていない。捜査中の事例を含めれば、最近5年間に発生した密閉空間窒息事故は計38件だ。2021年に4件だった事故は、2022年から昨年まで、毎年8~9件ずつ発生した。窒息事故全体の内、マンホールで発生した事故は9件(23.6%)だ。

産業安全保健法は密閉空間窒息事故を予防するために、有害だったり、危険な密閉空間で作業に従事する作業者には、義務的に特別安全保健教育を実施するようにしている。しかし、最近5年間、密閉空間作業の特別安全保健教育の未実施で75人が摘発された。昨年の6人から今年8月現在で16人に増加した。現行の産安法には特別教育実績を政府に報告する手続きがなく、労働部さえ教育の履行実態を正しく把握できていないと指摘されている。

アン・ホヨン議員は「最近急増した密閉空間作業窒息死亡事故の大部分が、基礎的な安全保健措置を執らずに発生した典型的な人災」で、「労働部は密閉空間作業特別安全保健教育の履行の可否を徹底的に点検するなど、不必要な死亡事故を根絶するために、最善を尽くさなければならない」と話した。

2025年10月9日 京郷新聞 チェ・ソウン記者

https://www.khan.co.kr/article/202510091659001