被ばく労働問題の取り組み~東電福島第一原発事故から14年●東京

福島第一原発の現状

東電福島第一原発事故から14年が経過した。2024年11月、
トラブルが続いた末に2号機の格納容器内の核燃料デブリの試験的取り出し作業が行われ、事故後初めて0.7グラムを取り出した。作業員の最大被ばく線量は12.2mSvに達した。福島第一原発の1号機~3号機には核燃料デブりが800トン超残っている。国、東電の廃炉工程における核燃料デブリの取り出しは、作業員に高線量の被ぱくを強いる消耗戦に他ならない。2023年3月末までに、福島第一原発事故後の作業員が発症した白血病7件、真性赤血球増加症1件、咽頭頭がん2件、甲状腺がん2件、肺がん2件、合計14件が労災認定されている。東電のアンケートでも被ばくによる健康不安を抱く作業員は増えている。

被ばく労働問題関連省庁交渉

2024年4月2日、第25回被ばく労働問題関連省庁・東電交渉を行った。交渉には厚生労働省、原子力規制庁、東京電力が出席し、①増設ALPS配管洗浄作業における作業員の被ばく事故、②第二セシウム吸着装置「サリー」の汚染水漏出事故、③福島第一原発の労災紡止と労災補償、④固形がんに関する「当面の労災補償の考え方」の見直しの必要及び労災認定基準、⑤東電の労働環境改善アンケート(第14回)結果と労働条件確保、⑥放射線被ばく防護対策と線量管理、⑦作業員の健康管理と救急医療体制及び産業保健活動、⑧福島第一原発緊急作業従事者の長期健康管理、⑨緊急時の避難計画と訓練等について交渉を行った。2024年5/21、7/8、8/27、12/2、2025年1/21、2/25、3/31に被ばく労働問題に関する学習会と会議を開催した。

あらかぶ裁判と披ばく労働を考えるネッ卜ワーク

2024年3月13日、第23回目の口頭弁論が関かれたが、その後は弁論準備の協議が続いている。この問、「放射線防護における低線量及び低線量率での線形闇値なし(LNT)モデルの使用の科学的根拠」(ローリエ論文)や仏、英、米国の原子力施設の作業員における電離放射線低線量被ばく後のがん死亡率の研究(INW0RKS2023年度報告書)に関する文献や準備蓄面、低線量被ばくであってもがん発症のリスクは直線的に高まるという最新知見を主張し、専門家の意見書を提出した。
2024年4月10日、被ばく労働の労働条件改善を求める春闘行動では、竹中工務庄、経済産業省、原子力損賠廃炉支援機構に申し入れを行い、集会を開催した。あらかぶさんが加入する原発関連労働者ユニオンは元請企業の竹中工務j吉の団交拒否に対し、東京都労働委員会に不当労働行為救済を申し立てた。2025年1月29日、都労委は竹中工務店に対し、被ばく線量管理に関する安全衛生管理に関して団交に応じるよう命令を出した。しかし、不当にも竹中工務店は命令を不服として都労委を被告として命令取り消しの訴訟を東京地裁に提訴した。

(第26回的総会議案書から東京労働安全衛生センター)

文・問合せ:東京労働安全衛生センター

安全センター情報2025年8月号