2019年の疾病・災害による労働関連負荷の世界、地域及び国レベルの推計(抄録)/Jukka Takala, et. al, Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 2023.11.12【特集】労働関連疾病負荷推計の進展
労働災害及び労働関連疾病の世界、地域及び国レベルの推計及び傾向に関する最新の2019年のデータは、これまでのILOの方法論に基づき、また、120組の曝露-疾病ペアに拡張したものである。筋骨格系障害、心理社会的要因による負荷及び経済的費用も含まれている。取り組みの優先順位つけのための包括的な事実は、規制・執行計画者、労働衛生サービス、補償機関及び職場の関係者にとって有益だろう。
目的
本研究は、死亡、障害調整生存年(DALY)、経済損失を含む、2019年における疾病・災害による労働関連負荷に関する世界、地域、国レベルの推計を提供する。
方法
国際機関、研究機関、公的ウェブサイトからの職業性疾病・傷害に関するデータを使用した。リスク要因-結果のペアのリスク比(RR)と人口寄与割合(PAF)は文献から得た。労働に起因する120のリスク-結果のペアを網羅する7つの主要疾病グループについて、181か国の推計死亡率及びDALYを算出した。
結果
全世界で、労働に起因する死亡は290万人であり、そのうち労働関連疾病による死亡者は258万人、労働災害による死亡者は32万人であった。世界全体では、潜伏期間の長い労働関連疾病が増加している一方、労働災害は減少している。労働関連循環器系疾患が世界全体で912,000人の死亡の主な原因であり、次いで労働関連悪性新生物が843,000人であった。しかし、世界保健機関(WHO)の高所得地域、アメリカ、東欧、西太平洋地域では、労働関連悪性新生物が最大の疾患群を占めている。労働に起因するDALYは、2019年には1億8,000万人と推計され、関連する経済的損失は世界のGDPの5.8%であった。心理社会的要因の新たな推計により、世界的損失が増加した。
結論
労働関連疾病・傷害の負荷は、2014年の年間死亡者数230万人から2019年には290万人へと26%増加した。労働に起因するDALYも2014年の1億2,300万から2019年には1億8,000万へと大幅に増加した(47%増)。地域や国によって大きなばらつきがあることがわかった。
※https://www.sjweh.fi/show_abstract.php?abstract_id=4132
上記URLから、119頁の補足ファイル1及び2(PDFファイル)、世界、地域及び国レベルのデータ結果(エクセル・ファイル)もダウンロードすることができる。ただし、提供されるデータは限定されていて、各国別に、3頁に紹介した表を作成することはできない(4頁上の表は可能)。
安全センター情報2024年4月号