英国・2024年じん肺等(労災補償)(特定疾病及び規定職業)(改正)規則/2024年2月22日 S.I.2024/199

説明用覚書[抄]

7. 政策背景

何が行われるのか、なぜ行われるのか?

7.1 本法律文書で提案されている変更により、規定疾患D8A「肺の原発がん(アスベストへの職業曝露を伴う)」についてIIDB[労働災害障害給付]の裁定を受けた請求者、及び「片側性」びまん性胸膜肥厚について規定疾患D9の裁定を受けた請求者はすべて、当該請求者が他の資格基準を満たすことを条件として、1979年[じん肺等(労災補償)]法制度に基づき一回限りの一時金補償を受ける権利を得る。

説明

本法律文書による変更がなされる前は、法律はどうだったか?

7.2 1979年法は、特定の粉じん関連疾病に罹患した者(またはその扶養家族)に対して、当該疾病について労働災害障害給付金(IIDB)が支払われる(または、障害が適切な割合には達しないが支払われるであろう)場合、他の資格基準を満たすことを条件に、一回限りの一時金補償が支払われることを規定している。この制度の当初の目的は、「関連使用者」に対して民事上の損害賠償請求を行うことができない、一定の特定疾病に罹患している者に、補償を提供することであった。

7.2 歴史的には、各特定疾病の定義は、IIDB法、すなわち1985年社会保障(労働災害)(規定疾病)規則の別表1に定められた規定疾病(PD)を正確に反映していた。しかし、時の経過とともに、IIDB法における疾病の規定は改正されてきた。

7.3 1985年以降、政府は、労働災害諮問委員会(IIAC)による勧告を受けて、1979年法制度の目的のためにも規定されていた2つの規定疾病について、IIDB法に変更を導入した。これらは、当時の規定疾病D9「両側性びまん性胸膜肥厚」とD8「以下の(i)石綿肺、(ii)両側性びまん性胸膜肥厚のひとつまたは両方の証拠を伴う肺の原発がん」であった。

7.5 1997年、片方の肺に影響を及ぼす胸膜肥厚は障害を引き起こすのに十分であるというIIACの助言を受けて、「片側性」びまん性胸膜肥厚がPD D9に追加された。2006年、「両側性びまん性胸膜肥厚を伴う肺の原発がん」への言及は、アスベスト曝露の信頼できないマーカーであるというIIACの助言を受けて、PD D8の規定から削除された。代わりに、PD D8A「肺の原発がん」(アスベストへの職業曝露を伴う)が追加された。

7.6 これらの変更により、「片側性びまん性胸膜肥厚」と「肺の原発がん(アスベストへの職業曝露の証拠を伴う)」に罹患している者は、IIDBの資格を得ることができるようになった。しかし、IIACは1979年法に基づく受給資格に関する助言は行っておらず、これらの更新された疾病は、臨床的理解の向上に基づく既存の疾病の定義の更新であるにもかかわらず、1979年法における特定疾病リストには追加されなかった。

なぜ変更されるのか?これによって何が変わるのか?

7.7 提案されている変更により、「肺の原発がん(アスベストへの職業曝露を伴う)」、または「片側性びまん性胸膜肥厚」に対するIIDBの裁定を受けた請求者は、1979年法制度に基づき一時金の裁定を受けることができる。これらの変更は、1979年法の当初の政策意図が法律に反映され、これらの請求者が1979年法制度による支援を受けられないことがないようにするために必要である。

影響を受ける人数は?

7.8 この変更により、1979年法に基づき一時金の受給資格を得る可能性のある請求者の数は、年間数百人程度と予想される。この見積もりは、過去に関連する特定疾病について[労働・年金]省が行った1979年法の一時金支給件数を用いた内部モデルに基づいている。

https://www.legislation.gov.uk/uksi/2024/199/pdfs/uksiem_20240199_en_001.pdf

説明
(本解説は規則の一部ではない)

1979年じん肺等(労災者補償)法(c.41)(以下「法」という)に基づき、法が適用される疾病により障害を負った一定の者、または死亡前にそのような障害を負った者の扶養家族に対して、一時金が支払われる。同法の対象となる疾病は、じん肺、綿肺、びまん性中皮腫、及び国務大臣が指定するその他の疾病である。

1985年じん肺等(労災補償)(特定疾病)命令(S.I.1985/2034)は、法が適用される追加疾病を規定している。2007年じん肺等(労災補償)(規定職業)命令(S.I.2007/2000)は、法が適用される各疾病のために規定される職業を列挙している。法に基づく補償を受けるには、関連する使用者がすべて事業をやめていることが条件となる。S.I.2007/

2000に規定された職業は、関連使用者が存在するか否かを判断する際に関係する。

第2条は、S.I.1985/2034に規定される疾病を以下のように改正する。

a) 石綿肺及び/または両側性びまん性胸膜肥厚を伴う肺の原発がんは、肺のアスベスト関連原発がんに置き換えられる。
b) 両側性びまん性胸膜肥厚は、片側性または両側性びまん性胸膜肥厚に置き換えられる。

第3条は、1988年じん肺等(労災補償)(請求支払)規則(S.I.1988/668)を結果的に改正し、「疾病」の定義を修正して、「原発性肺がん」の定義を削除する。

第4条は、関連使用者の有無の判断に関連するS.I.2007/2000に規定された職業を改正する。

民間、ボランタリーまたは公共部門に対する影響はないか、または重大な影響はないため、本法律文書の完全な影響評価は行われていない。

[訳注]「第1部 じん肺に関する規定職業」は、別稿で見直し改訂が勧告されている規定疾病D1と同じ内容で、12の既定職業カテゴリーとオープンカテゴリー、14のサブカテゴリーからなる。

https://www.legislation.gov.uk/uksi/2024/199/note/made

2017年8月号「イギリスの石綿被害と補償・救済のアプローチ」で、1979年じん肺等(労災補償)法を含めたアスベスト関連疾患に係る補償制度及びIIACによる規定疾病の検討の経過等を解説しているので、合わせて参照いただくと、理解するうえで参考になると思われる。

安全センター情報2024年5月号