「これは労災ですか」・・・・青年・女性たちがためらう理由 2024年01月15日 韓国の労災・安全衛生

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スタイリストのAさん(30)は、数十着の衣装を運び、地方撮影では長時間の移動をするなど、「体調が悪くない方が異常」というほど働いた。結局、ヘルニアが酷くなったが、労災保険での処理はできなかった。

Aさんは「(スタイリストなど)フリーランサーには四大保険が適用されたばかりだ。普通、四大保険もなく、税金も取られずに仕事をした。」「会社が労災処理をしてくれるはずもなく、私たちにも知識がないために会社に言えず、結局辞めることになる」と話した。

青年・女性労働者が仕事のために病気になったり怪我をしても、労災保険の申請・処理をしにくいということが判った。健康保険や個人保険、自費で治療費を払ったり、経済的な負担で治療を受けられなかったりもしていた。

「美しい財団」と「労働健康連帯」が発刊した『2023青年女性労災回復支援事業報告書』によれば、支援事業を申請した満19才~33才の青年・女性労働者200人の内、労災保険で治療費を解決したのは3人(1.5%、重複回答)に過ぎなかった。労災申請をしたケースも6人(3%)に止まった。4分の1を超える78人(26.4%)が、「経済的な負担で治療や療養ができなかった」と答えた。「美しい財団」と「労働健康連帯」は2022年から、働いて健康を害した青年・女性たちの治療・リハビリなどを支援している。

青年・女性労働者が労災申請をしなかった理由は、「(私の疾病・負傷を)労災保険で処理できるかがよく解らなくて」が、40.3%(重複回答)で最も多かった。「労災保険が何なのかよく解らなくて」、「解雇・不利益が心配で」が、各々19.8%、16.3%で後に続いた。

美しい財団・労働健康連帯の提供

労災申請ができなかった具体的な理由を見ると「劣悪な労働環境」が明らかになる。労災申請ができなかったという青年・女性労働者たちは「勤労契約書を作成せずに働いているので(労災処理が)できないと思った」「契約職なので該当しないと思った」ので、申請しなかったと答えた。支援事業を申請した青年・女性労働者の半分以上(107人:53.5%)が月200万ウォン未満で働いていた。5人未満の事業所で働くケースも、62人(31%)と多かった。

労働健康連帯は、「(回答者たちは)正規職でなかったり、フリーランサーとして働いているので、労災補償を申請できないと考えた」として、「基本的な労働権が保障されない職場では、職業病と業務上の事故に対する補償を主張することは難しいと口を揃えた」と話した。

適時に適切な治療を受けられずに仕事を辞めたりもしていた。支援対象に選定された60人の内、23人(38.3%)は健康問題を経験した後に無職になった。11人(18.3%)は、従来の業務をこれ以上続けることができず、職種変更を試みたり、悩んでいた。労働健康連帯は「痛みが初めて生じた時に病院を訪れて治療を受け、休息を取れば急速に回復できる問題が、我慢して働いている間にますます酷くなることになる。」「病気が深刻になったり、痛みに耐えられない状態になって、やむを得ず会社を辞めることもある」と話した。

労働健康連帯のチョン・スギョン活動家は「(青年・女性労働者が)情報力一つだけのせいで労災申請ができなかったわけではない。」「時間を作って書類を集めて提出し、事業主の抵抗を退けなければならないが、こういう状況と全てで闘って、現行の制度内で労災を認められるのはとても難しい」と話した。

2024年1月15日 京郷新聞 パク・チェヨン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202401151625001