30人未満の事業場の長時間労働には目をつぶった労働部 2023年2月6日 韓国の労災・安全衛生
政府が週52時間を越える長時間労働を黙認している30人未満の事業場に、『勤労者の健康権保護』のための案内文を配布した。労働者自ら健康に関する自己診断をして、異常があれば労働者健康センターを訪れろという内容だ。週60時間制を黙認している30人未満の事業場に実施する政府の唯一の健康権保護措置だ。ところが、自己診断の内容を見ると、勤労監督官の執務規定(産業安全保健)上の『犯罪認知』に該当する事項も労働者に押し付けているのではないか、という疑惑が提起されている。
毎日労働ニュースの取材を総合すると、労働部は今月初めに『勤労者の健康権保護のための自己診断案内文』を事業場に配布した。5~29人の事業場に昨年まで適用していた8時間追加勤労制度が期限切れになった後、政府が先月1日から1年間の『勤労時間啓導期間』を付与することによって実施した後続措置だ。昨年12月30日、労働部は、啓導期間中は30人未満の事業所を長時間労働の監督対象から除外し、(陳情などで)法違反が摘発された場合、最大9ヵ月の是正期間を与えることにした。
案内文は、啓導期間中の長時間労働による労働者の健康権保護のための健康自己診断が盛り込まれた。自己診断は、勤労者の健康診断が2項目と業務負担の加重要因診断が3項目だが、該当項目があれば、本人の健康状態を考慮して、勤労者健康センターを訪問して追加的な健康診断を推めるということだ。
労働者の健康診断項目は、産業安全保健法129条と130条による健康診断(事務職は2年に1回、その他は年1回以上の一般および特殊健康診断)を遵守しているかどうかと、健康診断の事後管理を遵守しているかだ。産業安全保健法132条4項は、健康診断の結果、労働者の健康を維持するために必要だと認められる時、作業場所の変更と作業転換、勤労時間短縮、夜間勤労制限、作業環境測定または施設・設備の設置・改善などの措置をするようにしたので、これを守っているかを確認せよという内容だ。
勤労監督官の執務規定によると、事業主が134条4項に違反して、健康診断後に職業病または一般疾病有所見者の事後管理をしない場合、犯罪認知対象に該当する。それでも、案内文では労働部勤労者健康センターの訪問だけを対策として提示しただけなのに、国民には「健康権保護措置」をしていると広報する状況だ。
5~29人の事業場は全国に約63万ヶ所で、労働者数だけで603万人に達する。過労死に該当する脳心血管疾患の業務上の疾病死亡者は、事業場の規模が小さいほど多い。勤労福祉公団によると、2021年に脳心血管疾患で死亡した労働者は509人で、このうち138人は5人未満の事業所の所属だ。5~29人の事業場の労働者は182人で、過労死全体の35%を占める。
2023年2月6日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=213306