赤く塗られたカレンダー イ・ソノ死亡事故以後に速報された死亡事故、49件 2021年6月4日 韓国の労災・安全衛生
平澤港でイ・ソノ(23)さんの産災死亡事故が発生した後の43日間に、誰かが職場で死んだという『安全保健公団死亡事故速報』がなく、静かに過ぎた日は僅か9日しかなかった。安全保健公団の速報は即死に近い重大事故だけを扱うため、静かに過ぎ去った日はこれより更に少ないものと推定される。
イ・ソノさんの産災死亡事故が発生した4月22日から今月3日までの43日間に、安全保健公団の死亡事故速報で報じられた死亡事故は49件で、死亡事故速報がなかった日は、5月1日・2日・4日・5日・10日・14日・15日・16日・18日だけだった。
5月20日・27日・29日には、一日で3件以上の死亡事故が報じられた。
5月20日、光陽市の製造業の事業場で、自動切断プレスの移動レールとコンベヤーの間に頭を挟まれた労働者が死亡し、咸安郡の製造業の事業場で、停止状態だった移送用ロボットのアームがNC旋盤に入り、止めに入った労働者が死亡し、巨済市の船舶建造の事業場で、船舶内の配線を設置するために移動していた労働者が、墜落して亡くなった。
5月27日には、安東の地下水鑑定開発公社の現場で、移動式クレーンで資材を引き揚げている時、資材が落下して2人が重傷を負った。同日、仁川住宅再開発整備事業の現場で、掘削機で土砂を埋める作業中に、下にいた労働者が落ちてきた岩に当って死亡し、前日には、世宗市の双龍C&Bの作業場で、コンテナの扉を開けた時に出てきた圧縮排紙の山の下敷きになった貨物労働者が亡くなった。
5月29日には、牙山の工場で、産業用ロボットで溶接作業中に、製品を取り出すために機械中のに入った労働者が挟まれて亡くなり、洪川の雨水管路の工事現場で、切土の土砂が崩壊して埋まった一人の労働者が死亡した。同日、世宗の骨材製造事業場で、エアコンの修理作業の後、階段で降りていた労働者が墜落して亡くなった。
5月19日から今月3日までの16日間は、一日も洩れることなく死亡事故が発生した。
4月22日から6月3日までに発生した49件の事故の内、遺族の声を伝えたり、事故原因を把握するなど、色々なメディアが集中的に報道した事故は、「平澤港のイ・ソノ産災死亡事故」と「双龍C&Bの貨物労働者の産災死亡事故」だけだった。
安全保健公団の死亡事故速報の趣旨と運営方式などを考えれば、実際の重大災害事故はこれよりもっと多いものと想われる。
安全保健公団によれば、『死亡事故速報』は、産災死亡事故に対する国民の警戒心を鼓吹し、同種の業界に危険を知らせる趣旨で、2019年8月から運営を始めた。そのため、正確な産災死亡事故の統計とは差がある。安全保健公団の関係者は「被災者が病院に運ばれて何日か後で亡くなった場合、死亡原因が明確でない場合などは、速報で報じられないこともある。」「死亡速報で統計を出そうとしてはいけない」と話した。
絶えない産災死亡事故に、労働界と産災事故の被災者の遺族は、連日、産災事故を防止する根本的な対策を求めている。民主労総と重大災害企業処罰法制定運動本部は、7日にも大統領府の噴水台の前で記者会見を行い、重大災害防止の緊急非常措置を求める予定だ。
一方、雇用労働部は4日、最近繰り返される産災死亡事故に、アン・ギョンドク雇用労働部長官が主催して『産災死亡事故危機対応PT対策会議』を行った。
対策会議では、法違反の事業場に対して厳正な行政・司法措置を執るとした。また、重大災害事業場の場合、作業中止を原則とし、労働者の安全が確保されれば、一年で作業中止を解除することにした。また、元請けが下請け労働者の産業安全保健法上の安全管理責任を負うように、積極的に点検・監督をするとした。
アン長官は「産業現場で労働者の生命と安全が最優先の要素として考慮されなければ、産災死亡を減少させることは難しい」として、安全規則の遵守に血の滲む努力を指示した。
雇用労働部は3ヶ月単位で産業災害の現況を整理して発表している。最近、労働部労災予防政策課が出した『3月末産業災害発生現況』によれば、今年1月から3月までの被災者は2万3464人で、前年同期比で1540人増えた。同じ期間の死亡者は238人で、15人減少した。
2021年6月4日 民衆の声 イ・スンフン記者