ポスコ労働者の特発性肺線維症、初めて産災(労災)認定 2021年3月2日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/金属労組浦項支部ポスコ支会

勤労福祉公団がポスコ・浦項製鉄所の労働者、Jさんの特発性肺線維症を産業災害と認定した。昨年12月のポスコ職業性癌集団産災申請に対する最初の産災判定で、公団は二ヶ月目に、別途の疫学調査なく、推定の原則によって産災と認定した。ポスコ・浦項製鉄所で、肺線維症で業務上疾病が認められた初めての事例でもある。今回の判定で、職業性癌など、ポスコの業務上疾病の産災補償が急流に乗ると思われる。

法律事務所「仕事と人間」によれば、公団・浦項支社は2月18日にJさんの特発性肺線維症を業務上疾病と判定した。Jさんは1980年にポスコ・浦項製鉄所に入社し、29年間コークス工場で働いた。溶鉱炉に入れる原料のコークスは、石炭をオーブンの形の構造で永く焼いて、揮発性物質と非揮発性物質に分離する過程を経る。Jさんはコークスがオーブンから出ると、冷ました後にベルトコンベヤーに載せる作業をした。コークスオーブンの後方には鉄鉱石の焼却炉があり、もう一方には鉄鉱石を積んでおく野積場があった。

Jさんの咳が激しくなったのは退社した2012年からだった。急性気管支炎と診断され、2019年にソウル牙山病院で線維症を伴う肺疾患の診断を受けた。Jさんの病名である肺線維症は、肺の組織が固まって呼吸障害を起こす疾患だ。石炭の粉塵に含まれた結晶型硝子ケイ酸とコークスオーブンの排出物質(COE)は、すべて1級発癌物質に分類される。

ポスコ側は「コークス工場の作業環境測定の結果、石炭の粉塵は法的な曝露基準(立米当たり5mg)より顕著に低い立米当たり0.445mg」として、業務との関連性を否認した。

公団は「27年間、コークス工場で石炭とコークスを扱い、石炭粉塵・ヒューム・石綿などに長期間曝露したと判断される」として「現在の作業環境測定の結果でも石炭粉塵が相当程度測定され、過去の作業環境と保護具の着用慣行を類推した時、Jさんの作業環境が肺線維症に相当部分寄与したと判断される」とした。大邱業務上疾病判定委員会は出席委員の一致した意見で、Jさんの肺線維症を業務上疾病と判断した。

今回の判定は、昨年12月15日に「職業性・環境性癌患者探し119」と金属労組が共同で行った浦項製鉄所の集団産災申請の結果だ。当時、Jさんなど8人の労働者が産災申請をしたが、二ヶ月目に初めての判定結果が出た。ポスコで、肺線維症で業務上疾病の判定を受けたのはJさんが初めてだ。

健康保険公団によれば、最近10年(2010~2019年)間でのポスコの労働者の癌発病率は、健康保険の職場加入者の平均より6.1~1.2倍高い。発癌性有害物質の取り扱いで職業性の癌に罹る危険性がそれだけ高いということだ。しかし今までポスコ・浦項製鉄所で、職業性癌で産災を認められたのはたった3人に過ぎない。

クォン・ドンヒ公認労務士は「ポスコのほとんどの工程は発癌物質を発生させるが、労働者は自分が退社するまでの数十年間、どんな発癌物質が発生しているのか、全く教育を受けていない。」「今回の判定は職業性癌に対する産災補償を拡大するのに肯定的な影響を与えるだろう」と話した。

2021年3月2日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=201537