50年前パッキン製造で石綿曝露、93歳女性の中皮腫死亡が労災認定/千葉
2024年7月、Kさんは胸膜中皮腫を発症し93歳で亡くなった。Kさんの生前、お孫さんから相談を受けていた。祖母が、肺炎、膿胸、良性腫瘍と診断されている。アスベストとの関連はないかというもの。Kさんは50台の頃、千葉県内の転居先の近くにあったゴム製パッキンの製造工場にパートタイマーとして勤めた。Kさんには、それ以外の就業歴はない。
Kさんの工場の社名はXアスベスト(株)。お孫さんが、祖母がその工場でアスベストを扱ったのではないかと思うのは当然のことだった。お孫さんにお願いし、外出が困難なKさんとオンラインでつなぎ、パッキン製造工場での仕事について聞き取りをした。当時、同社では、ゴムシートを裁断機を使って切断し、手押しのプレス機にかけてドーナツ状に型抜きし、パッキンを製造していた。おそらく材料のゴムシートにアスベストが含まれていたものと考えられる。
その後、しばらく連絡がなかったのだが、昨年12月、お孫さんから電話を受けた。Kさんが昨年7月に亡くなり、死亡後に病理解剖した結果、死因は悪性胸膜中皮腫だったことが明らかになった。遺族の娘さんとお孫さんと面談し、相談を再開することになった。
Xアスベスト(株)はすでに廃業したと考えられたが、商業登記簿謄本をたどっていくと、社名を変えて事業を継続していることがわかった。そこで現存する会社を訪ね、Kさんの労災申請に協力するよう求めた。Kさんを知る人はいなかったものの、当時、材料のゴムシートはバルカーから仕入れていたことも確認できた。バルカーは、アスベスト含有のジョイントシートガスケットやパッキンを製造販売していた企業である。
2025年2月に船橋労働基準監督署に遺族補償一時金等を申請し、9月に支給決定された。
Xアスベスト社はアスベスト製品製造企業である。Kさんが同社で就労していた時期は、アスベスト被害をうけた元労働者や遺族に対して国が賠償を支払う対象期間にも重なる。今後、アスベスト訴訟弁護団とも協議しながら、相談対応を進めていきたいと思う。
文・問合せ:東京労働安全衛生センター
安全センター情報2026年5月号


