労働・社会団体「今年最悪の殺人企業」はアリセル・・・20年間の最多1位は現代建設」/韓国の労災・安全衛生2025年4月22日

労働・社会団体が選んだ今年の『最悪の殺人企業』に、移住・下請け労働者など23人が火災で亡くなったアリセルが選ばれた。市民が選んだ『最悪の殺人企業』には、学校給食労働者の肺がんなどの労働災害に対応できない市・道教育庁が挙げられた。
民主労総と労働健康連帯、毎日労働ニュースなどが参加した「労災死亡対策準備共同キャンペーン団」は22日に記者会見を行い、『2025年最悪の殺人企業』選定の結果を発表した。最悪の殺人企業は、雇用労働部の災害調査対象死亡事故状況をベースに選定される。
最悪の殺人企業1位に挙げられたアリセルは、昨年6月24日に華城の工場で発生した火災惨事で23人が死亡した。アリセルはバッテリーの製造工程に、日雇いの形態で移住労働者を派遣されて使用してきた。移住労働者は安全教育もきちんと受けられず、火災事故当時には非常口も見つけられずに亡くなったという経緯がある。亡くなった人たちの内、18人が移住労働者だった。キャンペーン団は「企業が不法派遣で労働者を雇い入れて事業を運営した時、労働者の健康に及ぼす危険と悪影響を示している」と指摘した。アリセルのパク・スングァン代表理事は昨年9月、重大災害処罰などに関する法律違反の疑惑で拘束起訴されたが、2月の裁判の結果で保釈された。

労災死亡対策準備共同キャンペーン団の会員たちが、民主労総で行われた「2025最悪の殺人企業選定式20周年」の記者会見で、歴代最悪の殺人企業最多1位・最多ノミネート企業を発表している。キム・テヒョン記者
この日の記者会見でアリセル惨事の遺族のヨ・クッカさんは「アリセルの火災惨事は未だ解決されないまま残っている。」「完全に解決されるまで、市民の多くの関心をお願いする」と話した。移住労働者労働組合のウダヤライ委員長は、昨年に労災事故で死亡した589人の内、92人が移住労働者だったということを挙げ、「事業場の変更・契約延長・労働条件などに対するすべての権限が事業主だけにあるため、移住労働者は事業場が危険であっても働かざるを得ない。」「政府が移住労働者の根本的な安全対策を準備すべきだ」と主張した。
アリセルの次には、労働者7人が亡くなった韓国電力公社と大宇建設が選ばれた。韓国電力公社で亡くなった労働者7人の内、6人が下請け労働者だった。高所作業中に感電したり(3件)、落ちたり(2人)、物体に当たって、電柱の下敷きになって(各1人)死亡したことが判った。韓国電力公社は2022年の重大災害処罰法の施行以後、昨年末までに11人が死亡し、公共機関の中で最も多くの死亡事故が発生していたことが判った。大宇建設も下請け労働者7人が亡くなり共同2位に位置し、GS建設は4人が亡くなり、4位を記録した。
また、市民6755人を対象に、14~20日に実施した「市民が選んだ最悪の殺人企業」アンケート調査では、40.1%を得票した市・道教育庁が1位に選ばれた。市・教育庁は調理過程で発生する「調理ヒューム」にきちんと対応せず、肺がんなどの労災を発生させたことが選定理由になった。次に、ロケット配送によって発生する夜間・過労労働の指摘を受けてきたクパン(25.9%)、白血病など職業性疾病が発生したサムソン電子(7.6%)等だった。
キャンペーン団は、最悪の殺人企業選定20年を迎え、歴代最多の選定企業も同時に発表した。最多1位は2007、2012、2015、2022年の最悪の殺人企業に選ばれた現代建設だった。2位には三回選定された大宇建設、3位はそれぞれ二回ずつ選定されたハナオーシャン(旧大宇造船海洋)とGS建設、現代製鉄だった。上位圏に位置した企業の大部分が建設会社だという点で、「危険な労働環境を作る根本的な構造である多段階下請けの問題などを改善し、安全体系を整備しなければ労働者の死を止めることはできない」とキャンペーン団は指摘した。
民主労総のヤン・ギョンス委員長は「労働者が安全に退勤できない社会は、誰も安全ではないということを私たちは繰り返し確認している。毎日仕事をする職場が、命を懸けなければならない切迫したところになってはならない。」「誰も怪我をせずに建てたアパートが重要なブランドになり、勤労基準法に違反せずに作った商品が購買の基準になる日を描いてみる」と話した。キャンペーン団は記者会見文で、「利潤より生命が先の社会を作るために、冬の広場を春に変化させてきた。」「広場の市民と共に、労働者の死が当然でない今日のために連帯する」と明らかにした。
2025年4月22日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者