除じん性能を有する電動工具に係る石綿等粉じんの発散防止措置を見直します~「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」の報告書~2023年6月20日 厚生労働省発表

厚生労働省の「建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策等検討会」(座長:鷹屋光俊独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所所長)は、本日、建築物の解体・改修等における石綿ばく露防止対策に関する報告書をとりまとめましたので、公表します。
石綿等が使用されている建築物、船舶、工作物の老朽化による解体等の工事は、今後も増加することが予想されています。そのため、最新の技術的知見を踏まえた、効果的な石綿ばく露防止対策が求められています。
今回の報告書では、石綿等の切断等の作業における石綿等粉じんの発散防止措置について、「湿潤化」に限定せず、「湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用、その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置」のいずれかの実施を義務付けることなどについて、提言しています。
厚生労働省は、この報告書を受けて、速やかに労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則の改正を進める予定です。

報告書のポイント

【石綿等の切断等作業等に係る措置の見直し(石綿則第13条関係)】

  • 文献調査および実証試験結果を踏まえると、除じん性能を有する電動工具の使用は、石綿等の湿潤化と同等以上の粉じん発散低減効果を有するものであると認められる。
  • 石綿等の切断等の作業等(石綿障害予防規則第6条の2第3項に規定する作業および第6条の3に規定する作業を除く)における粉じん発散防止措置については、「湿潤化」に限定せず、「湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置」のいずれかの措置を行うことを義務付けるよう見直すべきである。

【石綿等の切断等作業等に係る措置の見直し(石綿則第6条の2第3項、第6条の3関係)】

  • 文献調査および実証試験から、除じん性能を有する電動工具には、十分な石綿等の粉じん発散低減効果があることが認められる。
  • 石綿等の切断等の作業においては、有効な呼吸用保護具の使用も義務付けられていることを踏まえると、電動工具を使用する作業においては、除じん性能を有する電動工具を使用することにより、労働者の石綿のばく露を低減しつつ、感電の危険性や剥離剤による有害性を避けることができ、作業場の安全衛生状況が全体として向上することが期待できる。
  • 作業内容に応じた、最適な粉じん発散防止措置を作業場で適切に講ずることができるよう、「常時湿潤化」に限定せず、「常時湿潤化、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置」のいずれかの措置を行うことを義務付けるよう見直すべきである。

<見直しにあたっての留意事項>

・ 今回の見直しは、電動工具による石綿等の切断等を推奨するものではない。石綿等は切断等以外の方法(ボルトや釘等を撤去し、手作業で取り外すこと)で行う必要があり、これを実施することが技術上困難な場合に限り、電動工具等で石綿等の切断等を行うことが認められているという従来の考え方を変えるべきではない。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33709.html

6月21日に石綿則改正のパブリックコメントが公示された。意見募集受付締切は7月20日である。

安全センター情報2023年8月号