国際労働会議が生物学的ハザーズに関する画期的な国際規則に向けた第一歩を踏み出す/2024年6月17日 国際労働機関(ILO)ニュース
国際労働機関加盟国の年次総会は、バイオ[生物学]ハザーズの規制、ケア部門における労働条件の見直し、そして急速に変化している労働環境における基本的原則・権利の重要な役割に向けた進展を果たして閉幕した。
第112回国際労働会議(ILC)に出席した代表団は、労働環境における生物学的ハザーズを規制する初の国際基準となるものに向けた第一歩を踏み出した。
現在、労働環境における生物学的ハザーズに焦点を当てた国際規制は存在しない。来年のILCでは、生物学的ハザーズに関する基準設定委員会の第2回会合で、協議が続けられる。議論は、新たな条約及び/または勧告につながる可能性があり、これは、安全かつ健康的な労働環境へのアクセスが「労働における基本的原則・権利」に格上げされて以来、初めて採択される国際労働基準となるだろう。
閉会式で演説した国際労働機関(ILO)のジルベール・F・ウングボ事務局長は、ILCの議論を支えた「熱意に満ちた、生産的で充実した」討論を称賛した。
「われわれは、世界中で根強い不安や不平等、非公式な状況と向き合っている」と彼は参加者に語り、さらに、「議論を通じて、ある重要な側面が確認された。われわれは行動しなければならない。行動しないという選択肢はない」と付け加えた。
「持続可能な平和、共有の繁栄、機会均等、そして公正な移行の基礎となる社会正義の進歩を実現するという…私の呼びかけに、皆さんは応えてくれた」と彼は述べた。
さらに、ILCは、一般討論委員会が提出した「ディーセントワークとケア経済」に関する決議を承認した。この決議には、同委員会の結論を支持し、今後のILOのプログラムと予算案にこれらの結論を考慮に入れるため、事務局長に対してディーセントワークとケア経済に関する行動計画を作成するよう求める内容が盛り込まれている。
結論では、ケア経済、その指針となる原則及び関係者に関する共通認識が示されている。ケア経済における労働は商品ではなく、すべてのケア労働者はディーセントワークを享受すべきであるということが確認されている。また、機能的で強固なケア経済は、危機への耐性を高めるうえで重要な役割を果たすとともに、社会及び経済の発展にもつながるとしている。結論ではまた、政策指針の勧告も提供され、ILOが世界、地域及び国レベルで同部門におけるディーセントワークを推進するうえで、世界的なリーダーシップを発揮することが再確認されている。
会議ではまた、労働における基本的原則・権利に関する定期協議委員会(FPRW)の結論も採択された。結論では、FPRWがかつてないほど必要であり、関連性が高まっていることが強調されている。これらは、人口動態、環境、デジタル化などの急速な変化が労働の世界にもたらされる時代において、ILOとその構成員がこれらの原則・権利を効果的に尊重し、促進し、実現するための指針となる。結論では、政策行動の重点分野として、労働市場のガバナンス強化、団体交渉を含め結社の自由と社会対話、正規化と持続可能な企業、平等と包摂の4つを指摘している。
会議ではまた、24か国の個別事例におけるILO条約の多数の適用を調査した基準適用委員会(CAS)の報告書も承認された。CASは、2003年に設立された、ベラルーシ政府によるILO第87号及び第98号条約の遵守状況を調査する調査委員会の勧告の遵守を確保することを目的として、ベラルーシに関する特別会議を開催した。
CASはさらに、変化する労働世界における労働行政に関する専門家委員会の一般調査についても検討した。
委員は、労働の世界が直面している急速かつ根本的な変化と危機を踏まえ、この一般調査の適時性を強調した。彼らは、ディーセントワークの実現、労働における基本的原則・権利の促進と尊重、持続可能な企業のための環境づくりにおいて、効果的な労働行政が果たす重要な役割を再確認した。
ILCではさらに、占領下のアラブ諸国の労働者の状況に関する特別会議も開かれた。事務局長は代表団に報告書を提出し、ガザの状況について「壊滅的」と表現し、「労働者の権利は壊滅的」と付け加えた。また、ディーセントワークの提供という公約を基盤とした、雇用創出に重点を置いた復興への準備の必要性を強調した。
ILOの開発パートナーによるその後の会議では、ILOの危機対応に対する財政面及びその他の支援が誓約された。この計画は、緊急支援、戦争による労働市場への影響の評価、早期復興という3つの柱に基づいている。開発パートナー会議で新たに確保された数百万ドルを含む、ドナー国は、占領下のパレスチナ地域に対するILO支援プログラムに約1,000万ドルを提供することを誓約した。このプログラムには、雇用促進、社会保護、ビジネス支援などが含まれている。
さらに、ILC開催中に、「社会正義のためのグローバル連合」の設立フォーラムが開催された。同連合の共同議長を務めるブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領とネパールのラムチャンダ・パウデル大統領がフォーラムで演説を行い、40人以上の政府閣僚が出席した。フォーラムのプログラムには、3つのハイレベル対話(社会の回復力の構築、経済政策と社会政策の一貫性の向上、共有繁栄のための社会対話)と、G7及びG20の現職大統領の労働大臣を招いての昼食時特別討論が含まれており、これらの多国間機関がどのように社会正義を推進できるかについて焦点を当てた。
「実りある議論を、今後は個々の努力と集団の努力を通じて連合のテーマ分野を発展させるための具体的な行動に移していかなければならない」とウングボ氏は説明した。
2023年に発足したこの連合には、すでに290以上の団体が加盟しており、そのすべてが社会正義の向上に尽力している。加盟団体には、政府、労働者団体、雇用者団体、国連及び地域機関、地域金融機関、学術機関、国際NGO、企業などが含まれる。
第112回ILCは、2024年6月3日から14日までジュネーブで開催された。政府、使用者団体、労働者団体の代表など、4,900人以上の代表者が参加した。第113回ILCは2025年6月に開催される。ILCは、国際労働機関(ILO)の187加盟国による年次総会である。ILOは、国際連合の専門機関で、労働の世界を専門に扱っている。
安全センター情報2024年9月号