過労死の60%が30人未満の事業場で発生 2024年01月05日 韓国の労災・安全衛生
2020年からの三年間に過労で亡くなった労働者の中で、30人未満の事業場の労働者が60%に達していることが判った。全体の53%ほどを占める30人未満の事業場の労働者数に比べると、多少高い比重だ。政府が30人未満の事業場に対する週最大52時間制の適用を「啓導期間延長」として事実上猶予したのは、これら小規模事業場の過労死を煽るものだという批判が出ている。
正義党・政策委員会が産業安全保健公団の労働災害状況を分析した資料を見ると、2020~2022年までの三年間に、30人未満の事業場で脳血管疾患と心臓疾患(脳心血管系疾患)で亡くなった労働者は883人だ。これは同じ病気で亡くなった全労働者1458人の60.6%に達するレベルだ。脳心血管系疾患は主に長時間労働で発生し、労災統計ではこのような疾患で亡くなったケースを『過労死』と表現する。過労で亡くなった30人未満の事業場の労働者は、2020年に227人(全体過労死の59.8%)、2021年に320人(62.9%)、2022年に286人(58.8%)で、持続的に60%前後を記録した。
事業者の労働力調査によれば、2021年6月の30人未満の事業場の労働者数(956万442人)は全体労働者の52.58%だ。全体労働者の半分余りの30人未満の事業場の労働者が、過労死亡者の中では60%を占めるという意味で、それだけ小規模事業場が過労死に脆弱だと見られる。
それでも政府は週最大52時間制に違反した30人未満の事業場に対して、昨年、法による即刻処罰を先送りする「啓導期間」を運営したのに続き、昨年末に更に今年一年延長すると明らかにした。これによって、30人未満の事業場の労働者が週に52時間以上働いた法違反を労働庁に陳情しても、事業主は最大九ヶ月間の是正機会が与えられることになる。
正義党は、行政府の方針だけで、勤労基準法に明示された週最大52時間違反による処罰を先送りすることは、職権濫用と職務遺棄に当たると見て、イ・ジョンシク雇用労働部長官の告発を検討している。正義党のキム・ジョンミン政策委議長は「啓導期間の延長は過労死に脆弱な30人未満の事業場の労働者の健康権を深刻に侵害する素地があり、長官の職権濫用に該当する」と話した。行政規制基本法は「行政機関は法律に基づかない規制で国民の権利を制限できない」と規定している。
重大災害専門家ネットのクォン・ヨングク共同代表(弁護士)は、「勤労基準法の違反業者を監視・監督すべき労働部が、自身の義務を放棄した部分は政府の職務遺棄に該当する」と話した。
2024年1月5日 ハンギョレ新聞 チャン・ヒョンウン記者、キム・ヘジョン記者