「労災疫学調査、180日を越えれば国が先補償」案を発議 2023年10月04日 韓国の労災・安全衛生

共に民主党のウ・ウォンシク議員が国会疎通館で記者会見を開き、労働災害補償保険法改正案の主要内容を発表している。/ウ・ウォンシク議員室提供。

仕事中に罹った疾病と作業環境との関連性を把握するために実施する疫学調査の期間を『180日以内』に制限し、期間を超えれば国が被害者に労災保険金を先ず補償するという内容の法案が発議された。

共に民主党のウ・ウォンシク議員は「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)、疾病労災被害者と家族などと一緒に、国会・疎通館で記者会見を行い、このような内容を骨子とする「労災補償保険法」改正案を発議したと明らかにした。疫学調査とは、職業性疾患が作業場の環境と有害要因によって発生したかを、科学・医学的に確認する作業をいう。

今回の改正案には、疫学調査期間を法定化し、労災保険金を先に支給する方案の他に、△被災した労働者を診療した医師の労災申請、△災害調査時に労災被災者または代理人の参加、などの内容が新しく含まれた。この他に「作業環境の有害要因の種類・ばく露程度を具体的に明らかにできない場合、労働者に有利に判断しなければならない」という条文も追加し、労災の国家責任制を実現するという意志も込められた。

改正案は、この間ハンギョレが指摘してきた労災補償保険法上の問題点を解決するために、労働界と国会が膝を突き合わせて出した解決策の一つだ。疫学調査を行う機関である産業安全保健研究院は、内部指針で『疫学調査結果の審議と議決期限』を180日と規定しているが、これは現実にはほとんど守られていない。

ハンギョレがウ・ウォンシク議員を通じて入手した『180日超過疫学調査』リストを見ると、今年1月31日現在、574人が合わせて26万7716日(733.4年)間も疫学調査の結果を受け取っていない。疫学調査が6年以上も続く事例も発見された。また、最近5年間(2018~2022)に111人の労働者が疾病で労災を申請したにも拘わらず、疫学調査の結果を受け取れないまま死亡したことが確認された。

ウ・ウォンシク議員は「熱心に働いた罪しかない国民のことを知らないのであろう労災システムを変える時になった。国家責任制を実現する方向に労災補償体系を改革すべきだ」と強調した。

2023年10月4日 ハンギョレ新聞 チャン・ピルス記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1110824.html